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2022 Fiscal Year Annual Research Report

環境・身体ダイナミクスの階層的変化に対する昆虫ナビゲーション戦略の解明とモデル化

Publicly Offered Research

Project AreaHierarchical Bio-Navigation Integrating Cyber-Physical Space
Project/Area Number 22H05657
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

志垣 俊介  大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (50825289)

Project Period (FY) 2022-06-16 – 2024-03-31
Keywordsアニマル・インザ・ループ / 嗅覚ナビゲーション
Outline of Annual Research Achievements

本研究では,アニマル・インザ・ループと呼ばれる生物が人工エージェントを遠隔操作する系を用いて,環境や身体の変化に対する生物の適応行動を抽出することを目的とする.本研究では,時間的また空間的な解像度が低く,不確定性の高いが故に自律移動体が苦手とする「匂い源定位」に焦点を当てる.
2022年度は,遠隔操作対象として全方位移動型のロボットを採用し,環境を仮想空間,室内環境,野外環境と三段階変化させた際の匂い源定位実験を実施した.対象生物にはカイコガ雄成虫を用いており,ロボットが知覚した匂い,風,視覚の情報は行動計測装置の各刺激装置を介して感覚刺激としてカイコガに提示される.最も環境の複雑さが低い仮想空間では高い匂い源定位成功率であったが,複雑さが高い野外環境においても7割の定位成功率であった.野外環境では,仮想環境や室内環境とは異なり,風向き方向がランダムであることから,必ずしも匂いが匂い源方向から到来せず,空間中の匂い拡散が時々刻々と大きく変化する.そのため,野外環境での定位軌跡のほとんどは匂い源に対して直線的ではなく,横風方向に大きく蛇行しながら,移動していることがわかった.特に探索の初段では,積極的に横風方向に移動する運動が観測された.これは,匂いの希薄領域で横風方向に大きく移動することで,匂いが多く存在する領域であるプルーム内に侵入する確率を上げている可能性がある.このことから,カイコガ雄成虫は風向きがランダムに変化する空間においても一定の定位性能を有しており,複雑環境への適応行動が計測できた.これら一連の成果は,査読付き国際論文誌2編,査読付国際会議講演1件,ほかにおいて発表された.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究では,アニマル・インザ・ループと呼ばれる生物が人工エージェントを遠隔操作する系を用いて,環境や身体の変化に対する生物の適応行動を抽出することを目的とする.
2022年度は,研究計画に従い,アニマル・インザ・ループ実験系を野外環境で実験できるように拡張するとともに,環境の階層性を仮想空間,室内空間,室外空間の三段階変化させた際のナビゲーション実験を実施した.匂い源探索を題材にナビゲーション実験を行った.その結果,不確実性の低い仮想空間,室内空間はもちろんのこと,室外空間でも昆虫は人工エージェントを遠隔操作することで目的地に定位可能であることがわかった.軌跡を解析すると,仮想・室内空間では直線的に匂い源に移動しているが,室外空間では蛇行しながら匂い源に近づいていることがわかった.これは,風が様々な方向から吹いており,それに伴い匂いの拡散が一定でないことが起因している可能性がある.これらの成果の一部は査読付きの国際論文誌に採録されたことから国内外に新たな知見をもたらすことができた.以上の観点から,2022年度の進捗状況は,当初予定された計画の成果を得ることができたといえる.

Strategy for Future Research Activity

2023年度は,2022年度で実施した環境の階層性を変化させた実験データに対して情報論的解析を進め,環境のダイナミクスに対する適応性抽出を試みる.2022年度の実験は,障害物が存在していない空間を想定していたが,実世界では多数の障害物が存在している.そのため,障害物が存在している空間でのナビゲーション実験を実施する予定である.この時,障害物の形状や数によって風や匂いの拡散度合いは大きく異なることが予想されるため,それらを変数として実験を行う予定である.また,現在の人工エージェントは地上走行型移動体であることから,2023年度においては人工エージェントの身体を多脚型や飛行型に変えることで,身体の複雑さに階層性を持たせた際の行動変容計測を行う.これらのデータも情報学的解析によって,適応性の抽出を行い,得られた結果に基づき適応的なナビゲーションアルゴリズムを構築する.最終的にはアニマル・インザ・ループ実験で用いた人工エージェントにアルゴリズムを実装し,生物とモデルの直接的な比較を行う予定である.

  • Research Products

    (7 results)

All 2023 2022

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 1 results) Presentation (5 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Robust Moth-Inspired Algorithm for Odor Source Localization Using Multimodal Information2023

    • Author(s)
      Shigaki Shunsuke、Yamada Mayu、Kurabayashi Daisuke、Hosoda Koh
    • Journal Title

      Sensors

      Volume: 23 Pages: 1475~1475

    • DOI

      10.3390/s23031475

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Palm-Sized Quadcopter for Three-Dimensional Chemical Plume Tracking2022

    • Author(s)
      Shigaki Shunsuke、Yoshimura Yuki、Kurabayashi Daisuke、Hosoda Koh
    • Journal Title

      IEEE Transactions on Instrumentation and Measurement

      Volume: 71 Pages: 1~12

    • DOI

      10.1109/TIM.2022.3218316

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Odor Source Localization Using Gaussian Process Regression2022

    • Author(s)
      Ryota Yanagisawa, Shunsuke Shigaki, Daisuke Kurabayashi, Koh Hosoda
    • Organizer
      SICE Annual Conference 2022
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 昆虫から学ぶ創発システム2022

    • Author(s)
      志垣俊介
    • Organizer
      創発システム勉強会
    • Invited
  • [Presentation] データ駆動型による空間依存的な昆虫の匂い源探索行動のモデル化2022

    • Author(s)
      李庭ミン,志垣俊介,眞田一志,倉林大輔
    • Organizer
      日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門講演会
  • [Presentation] 障害物領域における匂い源探索への適応的な行動選択水準モデルの提案2022

    • Author(s)
      渡辺椋太,近藤壮,志垣俊介,倉林大輔
    • Organizer
      日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門講演会
  • [Presentation] 昆虫用仮想現実を用いた匂い感覚とエコミメティクスの連関解析の試み2022

    • Author(s)
      志垣俊介
    • Organizer
      第93回日本動物学会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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