2022 Fiscal Year Annual Research Report
機械モデルと細胞観察でひもとくストレスファイバ回転の力学
Publicly Offered Research
Project Area | Advanced mechanics of cell behavior shapes formal algorithm of protozoan smartness awoken in giorama conditions. |
Project/Area Number |
22H05683
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
岩楯 好昭 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (40298170)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞遊走 |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者らは、以前、アメーバ運動中の魚類表皮細胞ケラトサイトの細胞体内で、ちょうど ラグビーボールの縫い目に沿うように複数配列したストレスファイバが、車輪のように回転するというユニークな運動マシナリーを発見した。ストレスファイバは構造的に直線的な収縮動作しか成し得ない。本研究の目的はストレスファイバの直線収縮が回転に変換される“力学”の解明である。生物には人工機械に無いやわらかいという特性がある。 本研究では、動力学的視点からストレスファイバの収縮によりやわらかい細胞質が変形し基質を蹴ることで回転トルクが生じるという仮説を立て、細胞観察と機械モデル製作という生物学・工学的 手法を組み合わせて仮説を立証する。本研究の成功は、近年注目を集める生物模倣による移 動体のソフトロボットへの応用が期待できる。 ストレスファイバの回転に伴う細胞膜の回転、核の回転などの動態を共焦点レーザー顕微鏡を用いて詳細に観察した。Z軸方向のスライスを拘束に撮影することにより、3次元像の動画を構築することができた。細胞膜も核も回転していることを画像として記録することに成功した。細胞膜、核のいずれの回転もストレスファイバの回転速度と同等か遅いことがわかった。これらの結果は推論通り、ストレスファイバの回転が原動力となって膜や核が回転していることを示している。ケラトサイトの核を可視化するにあたっては、GFPヒストンプラスミドをケラトサイト細胞体内に我々が開発したマイクロエレクトロポレーターで導入し、発現させ可視化することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響のため、これまでほとんどすべての学会活動などのミーティングが対面以外の方法で実施されてきていた。こうした学会が少しずつ対面で行われるようになり、対面による議論ができるようになった。また、物品の購入の問題もほとんどなくなり、実験も滞りなく行える環境が整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
下に示す計画の遂行を目指す。 ・運動特性抽出 ケラトサイトのストレスファイバ車輪の運動の力学特性を定量する。 ・メカニクス推定 上述の特性に従う機械モデルを製作し、その動作解析から機械モデルが回転する原動力が何か確認する。 ・メカニクス実証 柔らかい基質上でケラトサイトのストレスファイバが回転しないことを確認する。さらに、弾性基質上でケラトサイトの蹴りの力を定量する。
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Research Products
(6 results)