2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳幹の広範囲調節系ニューロンが意思決定を調節するメカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Experimental Social Sciences: Toward Experimentally-based New Social Sciences for the 21st Century |
Project/Area Number |
23011001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
辛島 彰洋 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教 (40374988)
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Keywords | 扁桃体 / 海馬 / 意思決定 / アセチルコリン |
Research Abstract |
意思決定には、広範囲の脳部位のニューロンが関与していることが明らかになっている。例えば、大脳皮質前頭葉には報酬予測に関連したニューロンが、扁桃体には報酬予測や価値の判断(損か得か)に関与するニューロンが存在し、意思決定に関わっている。このような意思決定に関わる脳部位のニューロンは、脳幹(中脳・橋・延髄)に存在する広範囲調節系からの調節を受けている。広範囲調節系は、いくつかの神経系に分けられるが、意思決定との関係についてよく調べられているのはセロトニン系である。一方、広範囲調節系のアセチルコリンニューロンも前頭葉や扁桃体に直接神経投射をしていることから意思決定行動を調節していると予測されるが、これを調べた報告はほとんどない。本研究ではアセチルコリンニューロンが意思決定を調節しているのかを、動物実験により調べる。アセチルコリンニューロンは、意識状態の変化により活動パターンを大きく変えること、また大脳皮質をはじめとする多くの脳部位のニューロン活動パターンを睡眠-覚醒状態依存的に制御していることが知られている。一方、最近になって、断眠(徹夜)により眠気が強まると、報酬予測・損失評価が変化してハイリスクの選択をするようになることが明らかにされた(Venktraman et al. 2007 & 2011)。以上のことから本研究は、意識状態(眠気)の変化により意思決定行動が変わる生理機序の解明につながると期待される。具体的には、アセチルコリン伝達を薬物投与により変化させた時に意思決定行動にどのような変化が生じるのか、またこの薬物投与によって扁桃体や前頭葉皮質の神経活動にどのような影響があるのかを調べる計画であり、本年度は、動物用ギャンブル課題の開発、アセチルコリン作動薬・拮抗薬の投与方法の確立、行動中の動物から神経活動を記録するシステム(微小マニピュレータやアンプ)を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
個体ごと、または実験日ごとの動物の行動の差が予想以上に大きかったため、行動実験で得られた結果のばらつきが大きかった。そこで、実験システムや実験の流れを一から練り直した。そのため、計画よりはやや遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、本年度開発した実験装置・システムを利用して実験を進めていく。具体的には、今年度開発したマイクロマニピュレータ+アンプを用いて、行動実験中(意思決定行動中)の動物の脳活動を計測し、意思決定に関わる神経機構を調べていく。さらに、アセチルコリン作動薬・拮抗薬を投与して、行動への影響を調べる。
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Research Products
(9 results)