2012 Fiscal Year Annual Research Report
脳幹の広範囲調節系ニューロンが意思決定を調節するメカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Experimental Social Sciences: Toward Experimentally-based New Social Sciences for the 21st Century |
Project/Area Number |
23011001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
辛島 彰洋 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教 (40374988)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | アセチルコリンニューロン / 意思決定 |
Research Abstract |
意思決定には、広範囲の脳部位のニューロンが関与していることが明らかになっている。大脳皮質前頭葉には報酬予測に関連したニューロンが存在し、意思決定に重要な役割を果たしている。大脳皮質のニューロンは、脳幹に存在する広範囲調節系から直接または間接的に調節を受けている。広範囲調節系の一つであるアセチルコリンニューロンは、脚橋被蓋核や背外側被蓋核に固まって存在し、視床を介して前頭葉を始めとする大脳皮質全体の活動を調節している。したがって、アセチルコリンニューロンは、意思決定のような高次機能の調節に関与している可能性があるが、これを調べた報告はほとんどなかった。本研究では、アセチルコリンニューロンが大脳皮質の活動をどのように調節しているのかを明らかにすることが、意思決定を調節する神経機構の解明につながると考え、研究を続けてきた。具体的には、動物実験により、脳幹のアセチルコリンニューロン活動を計測し、大脳皮質活動への影響を調べた。アセチルコリンニューロンは、覚醒時だけでなくレム睡眠時にも活発に活動する。本研究では、安定した神経活動記録が可能なレム睡眠時に記録されたデータを解析し、大脳皮質の活動(フィールドポテンシャル)との時間関係を調べた。その結果、アセチルコリンニューロンが発火すると、その直後にガンマ波帯域の脳波の振幅が一過性に増大することを見出した。また、バースト発火をした時にこの増大が特に顕著に見られることも分かった。ガンマ波は、大脳皮質が活発に活動しているときに観測されることから、上記の結果は、アセチルコリンニューロンのバースト発火により大脳皮質の活動が一過性に高まることを示唆している。最近、断眠(徹夜)により眠気が強まると、報酬予測・損失評価が変化してハイリスクの選択をするようになることが明らかにされたが、本研究の成果はこのメカニズムの理解につながると期待される。
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Research Products
(7 results)