2012 Fiscal Year Annual Research Report
拡張効用関数の一般化とヒト動機づけ行動への展開
Publicly Offered Research
Project Area | Experimental Social Sciences: Toward Experimentally-based New Social Sciences for the 21st Century |
Project/Area Number |
23011006
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
南本 敬史 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, チームリーダー (50506813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 洋 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, モデル動物開発研究部, 室長 (70453115)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / 経済理論 / 認知科学 / モデル化 |
Research Abstract |
効用関数(あるいは価値関数)は主体の価値観を定量的に表現するための数理モデルである。これまでの心理学や行動経済学の研究において、選択行動を用いた実験によって、効用関数の推定・定量がなされてきたが、これでは主体の"選好"のみ定量され、主体の欲求といった内的状態の変化を定量することはできない。一方これまでに、サルの水分摂取の欲求とそれを獲得するための動機づけ行動を詳しく調べ、主体の欲求といった内的状態の変化を定量した"飽和関数"を効用関数に付加した"拡張効用関数"を提唱し、動機づけ行動を説明しうることを示した(南本ら2009)。本研究は、拡張効用関数のヒト動機付け行動への一般化を目的とする。H24年度は拡張効用関数の一般化を目的とし、報酬獲得のために主体がかける費用(コスト)に着目し、報酬遅延が存在するdelay試行と遅延の間に行動を要求するwork試行の2条件を設け,それぞれのコスト量(遅延時間と仕事量)を操作した動機付け行動課題を作成した。合計8頭のマカクサルを対象に、行動データを採取し結果、work/delayとも報酬までに支払うコストが増えるほど、動機付けが下がり、またwork/delay試行に差がない個体(4頭)とwork試行で動機付けが下がる個体(4頭)に分けることができた.このwork/delayのコストの関係はセッション内での内的状態の変化によらず一定であることから、動機付けにおけるこれら2種類のコスト、セッション内での変化については、拡張効用関数とコストによる報酬割引を組み合わせた関数により説明することができた。 拡張効用関数は遅延や仕事量などのコストによる価値割引と両立可能で、さらに一般化可能であり、動機付け行動制御の脳メカニズム解明やヒトの社会行動のモデル化に寄与するものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、H24年度に飽和関数の生理妥当性の検証実験を実施し、論文発表することができた。
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