2012 Fiscal Year Annual Research Report
相転換を調節する葉から茎頂への情報輸送経路の分子機構
Publicly Offered Research
Project Area | Plant regulatory systems that control developmental interactions between meristems and lateral organs |
Project/Area Number |
23012012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 光知 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (20343238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 好文 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10124215)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 遺伝子 / 植物 / 花成 / フロリゲン |
Research Abstract |
植物の栄養成長から生殖成長への相転換(花成)は、葉において産生された長距離性情報分子(フロリゲン)が茎頂メリステムへと輸送されることで調節されている。しかし、フロリゲンが長距離性情報分子としてふるまう上での重要なプロセスである葉から茎頂メリステムへの輸送経路に関する知見は十分とはいえず、現時点においても新規な知見が求められる状況にある。そこで、フロリゲンが葉から茎頂メリステムへと輸送される過程について、Myb様の転写因子をコードしているFE遺伝子に注目をすることで、その一端を明らかにすることを目指す。 FE遺伝子は転写因子をコードしている事から、FEタンパク質の転写制御下にある因子が実際にはフロリゲンの輸送に関与している。現在までのところ、fe変異体、35S::FE-GR植物を用いたマイクロアレイ解析の結果から、C2-domainをもつタンパク質、金属シャペロン様タンパク質等がFEの制御標的候補に挙げられている。これらの下流候補の機能喪失変異体は、ft変異体、fe変異体と同様に、長日条件下において特異的な花成遅延表現型を示した。さらに多重変異体を作出し、候補間の遺伝的相互作用を検討した結果、FEの下流には、複数の制御階層が存在していることを示唆する結果が得られた。 また、イメージング解析の結果、FE標的遺伝子候補の中には、原形質連絡に局在する制御因子候補が存在した。このことから、原形質連絡に局在する因子群の機能欠損が、花成にどのような影響を与えるかを逆遺伝学的手法によって検討した。しかしながら、現在までのところ原形質連絡に局在する因子と花成表現型の間に明確な関連性を見いだすには至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FE下流候補の細胞内局在、多重変異体の解析など、昨年度の準備段階を経て解析はおおむね順調に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
原形質連絡に局在する因子のノックアウトラインの中には弱い花成遅延表現型を示すものもあったが、明確な結論は得られなかった。今後は、フロリゲン以外の節部を介した物質の輸送にも目を向けながら、花成制御における原形質連絡の役割を明確にしていく必要がある。
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