2011 Fiscal Year Annual Research Report
開花に至る花器官の成熟と器官間コミュニケーションの分子機構
Publicly Offered Research
Project Area | Plant regulatory systems that control developmental interactions between meristems and lateral organs |
Project/Area Number |
23012015
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石黒 澄衞 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (50260039)
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Keywords | シロイヌナズナ / 花 / 開花ホルモン / ジャスモン酸 / プロモーター / 転写制御因子 |
Research Abstract |
花器官、すなわち花を構成する4つの器官(がく片、花弁,雄しべ、心皮)は、いずれも葉が特殊な形態と機能を持つように変化したものである。花芽メリステムによって作られたこれらの器官の原基は、ある程度の大きさになるまで細胞分裂によって成長し、つぼみを形成する。やがて花器官は外的、内的なシグナルを受けて急速に大きくなる。これが開花で、器官の拡大は主に細胞伸長によって行われる。では、この外的、内的なシグナルを統合し、一つの花の中の花器官を同調的に伸長成長させるしくみはどのようになっているのだろうか?これまでの研究から、少なくともアブラナ科植物ではジャスモン酸が開花を誘導する「『開花』ホルモン」として働いていることが明らかになってきた。ジャスモン酸は雄しべの軸の部分(花糸)で生合成され、他の花器官にも作用することで、花器官の同調的な伸長成長を実現しているらしい。本年度は、成熟したつぼみの花糸でジャスモン酸生合成が活性化されるしくみを明らかにすることを目的に、ジャスモン酸生合成の最初の段階を触媒するリパーゼの遺伝子DAD1を対象にプロモーター解析を行った。DAD1遺伝子の5'上流域の約2.9kbの断片にβ-グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子を連結すると、開花前のつぼみの花糸に特異的にGUSの活性が現れる。そこで、このプロモーターに部分的な欠失を導入し、花糸特異的発現に必須の領域を探索した結果、4つの領域を同定することができた。この4つの領域を直接連結し、さらにカリフラワーモザイクウィルス35Sプロモーターのコアプロモーター部分を繋げば、花糸特異的発現が起きることも確認した。さらに、酵母ワンハイブリッド法によりこのうち2つの領域に結合する転写制御因子の探索を行い、それぞれ候補因子を同定した。候補因子の一つについて機能抑制株を作出して解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジャスモン酸の生合成制御機構の解析については計画通りに進展し十分な成果が得られた。器官間コミュニケーションの研究に関しては、当初の仮説の一つが誤りであることがわかったため実験計画の再構築を行った。総合的にはおおむね順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
ジャスモン酸の生合成制御機構についてはなるべく早期に成果のとりまとめを目指す。器官間コミュニケーションに関しても計画通り研究を進める。
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