2011 Fiscal Year Annual Research Report
生化学的結合を指標としたLRR型受容体キナーゼのリガンド探索
Publicly Offered Research
Project Area | Plant regulatory systems that control developmental interactions between meristems and lateral organs |
Project/Area Number |
23012020
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
篠原 秀文 基礎生物学研究所, 細胞間シグナル研究部門, 助教 (40547022)
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Keywords | 細胞間情報伝達 / LRR型受容体 / ペプチドシグナル / CLAVATA情報伝達系 / 茎頂メリステム / リガンド-受容体ペア / 糖鎖修飾 |
Research Abstract |
(1)BY・・2株中でHaloTag融合受容体過剰発現株を作製し,リガンド結合能を維持しながら安定的に発現させる「受容体発現ライブラリー」の構築を進め,LRR型受容体を中心にライブラリーを拡大させた.このライブラリーを用いて,受容体未知なペプチドホルモンであるRGFペプチドを直接結合する受容体候補を見出している, (2)アラビノシル化CLV3ペプチドの化学合成を試み,アラビノース鎖がβ-1,2結合で3残基結合したアラビノシル化CLV3ペプチド,[Ara_3]CLV3ペプチドを作製した.ペプチド投与実験によりclv3変異体の茎頂の表現型を回復させることを確認し,合成ペプチド[Ara_3]CLV3が天然から得られた糖鎖付加CLV3ペプチドと同等の活性を有することを示した. (3)アイランドドメインを持たないLRR型受容体のひとつであるBAM1をモデルとして,フォトアフィニティーラベルを応用したリガンド結合部位の生化学的解析を行い,細胞外LRR6-LRR8の領域がリガンド結合部位であることを示した.BAM1の詳細な配列解析およびホモロジーモデリングから,結合領域として同定された部位はLRRのコンセンサス配列から若干逸脱しており,この乱れがリガンド結合の特異性を生み出していると推測された.またBAM1ホモログであるCLVIの変異体のひとつであるclv1-4は,今回同定したリガンド結合部位近傍にアミノ酸置換変異を持つが,BAM1においてclv1-4に対応する残基に部位特異的変異を導入したところ,リガンド結合能が完全に消失することが確かめられた,BAM1におけるリガンド結合部位は膜貫通領域から離れた部位にあるが,これはブラシノステロイド受容体BRIIの場合とは対照的であった.これらの結果は,LRR型受容体におけるリガンド認識機構が極めて多様性に富むことを示すものであると考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的のひとつであった糖鎖修飾を受けたCLV3ペプチドの化学合成を達成した.また受容体発現ライブラリーも順次拡大が進行中であり,ライブラリーを用いた結合実験によって受容体未知ペプチドホルモンRGFペプチドの受容体候補を見出しつつあり,研究はおおむね順調に進行していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)受容体発現ライブラリーの拡大を順次,進める.LRR型受容体に限らず,現在までにリガンド結合能が示されている受容体の特徴(細胞外領域が400アミノ酸以上である,細胞外領域イントロンの数が少ない等)を有している受容体キナーゼを優先してライブラリー化を進める.またRGFペプチド受容体候補として同定した受容体の変異株の解析を進める. (2)化学合成経路を確立したアラビノシル化CLV3ペプチドを用い,受容体との結合を詳細に解析していく.糖鎖付加の有無が,CLV1以外の受容体(CLV2,RPK2,BAMなど)への結合に影響するかどうかを調べる.
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