2011 Fiscal Year Annual Research Report
ライブイメージングと種間比較による花粉管誘引の長距離・短距離シグナルの機能解析
Publicly Offered Research
Project Area | Plant regulatory systems that control developmental interactions between meristems and lateral organs |
Project/Area Number |
23012021
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
金岡 雅浩 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教 (10467277)
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Keywords | 花粉管ガイダンス / 種分化 / 植物有性生殖 / トレニア / シグナル伝達 / タンパク質立体構造 / 胚珠 |
Research Abstract |
被子植物の受精において、移動能力を持たない精細胞は花粉管により胚珠の胚のうへと運ばれ、卵細胞・中央細胞と受精する。花粉管は雌しべの様々な組織に由来する、長距離・短距離で働くシグナルを受けて伸長方向を決定し胚のうへと到達すると考えられており、このメカニズムを花粉管ガイダンスと呼ぶ。本研究の目的は、受精に至る過程において花粉管と雌しべ組織との間にどのようなシグナル伝達があるかを明らかにし、それに関わる分子の挙動や機能的実体を明らかにすることである。 胚のうへのガイダンスに関わる分泌性タンパク質LUREsの種特異的なガイダンス活性に必要なアミノ酸配列や立体構造を同定するため、タンパク質の大量発現やリフォールディングの条件を検討した。Nicotiana benthamianaを用いたタンパク質の一過的発現系より、アポプラスト液から花粉管ガイダンス活性を持つLUREsを含む画分を回収することに成功した。 花粉管の長距離ガイダンスに関わる因子の性質を明らかにするため、まず、様々な発生段階の胚珠を用いてアッセイを行った。その結果、ガイダンスには胚のうが必要であること、未成熟な胚乳には花粉管が誘引されないこと、また、T.fournieriの花粉管は近縁種のT.concolorやT.violaceaの胚珠より同種の胚珠により強く誘引されることが分かった。 次に、花粉管の伸長方向を定量的に評価するためのマイクロデバイスの開発をおこなった。デバイスのサイズを検討した結果、PDMS樹脂を用いて作成した幅500μmの流路において花粉管が胚珠へ有意に誘引される様子が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CRP1タンパク質の種特異的な花粉管誘引活性のもととなるタンパク質の立体構造解析に向けての知見が得られた。また、新規の花粉管誘引現象を発見した。独自のマイクロデバイスの開発により、その誘引現象を担う因子の同定に向けての技術的基盤が確立された。
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Strategy for Future Research Activity |
CRP1の立体構造の決定については、13Cと15Nで標識したタンパク質を高効率に発現させる系を開発して詳細な構造決定を目指す。また、TfCRP1とTcCRP1との間でアミノ酸置換をおこしたタンパク質を作成し、機能に重要なドメインを同定する。新規長距離誘引現象については、胚珠培養液をHPLCで分画して活性のあるフラクションを絞り込むことで同定を目指す。
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Research Products
(7 results)