2011 Fiscal Year Annual Research Report
根の側生器官発生に関わるAТP結合カセット蛋白質の情報分子輸送とメリステム制御
Publicly Offered Research
Project Area | Plant regulatory systems that control developmental interactions between meristems and lateral organs |
Project/Area Number |
23012024
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢崎 一史 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (00191099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 暁史 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (20598601)
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Keywords | ATP結合カセット蛋白質 / 根粒形成 / 側根形成 / ミヤコグサ / 膜輸送 / MATE型輸送体 / ALMT / 機能性低分子化合物 |
Research Abstract |
我々はミヤコグサを材料にして、側生器官である根粒と側根の形成を比較しつつ、その発達や機能分化に関わる輸送体の解析を行っている。特にこれまで、情報分子としてオーキシンを中心にそれを基質として認識する、ATP結合カセット(ABC)タイプの輸送体蛋白質の研究を主に行ってきたが、ミヤコグサ根粒の細胞タイプ特異的なトランスクリプトーム解析の結果、ABC蛋白質以外にも、MATE型輸送体が根粒形成に深く関わることを見出し、本年度はこの分子LjMATE1の解析に注力した。 アフリカツメガエルの卵母細胞を用い、まずLjMATE1がクエン酸輸送性の分子であることを明らかにした。その生理的な役割を調べるためにRNAiによる発現抑制株を作製した。その解析からLjMATE1発現抑制株では、根粒感染領域の鉄の蓄積が低いこと、並びに根の維管束では逆に鉄の沈着が認められることが明らかとなった。またRNAiラインは、窒素欠乏条件下でのみ地上部の生長の遅延を示した。RNAiラインの根粒を調べてみると、植物体当たりの根粒数は大きく変化しないものの、33%程度の頻度で野生型に認められないレグヘモグロビンを持たない淡緑色の根粒が発生すること、RNAiラインでは正常根粒が減少していることが分かった。さらに詳細な解析から、LjMATE1は根粒組織でクエン酸を分泌することにより、根から根粒細胞への鉄の転流に関わっていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AIP結合カセット(ABC)タイブの輸送体蛋白貿の研究を主に行ってい、根粒で発現するLjABCB1について論文を発表することができた。また、ミヤコグサ根粒の細胞タイプ特異的なトランスクリプトーム解析も行い、その結果についても論文を発表することができた。さらに、トランスクリプトーム解析から新たに見出されたLjAMTE1についても研究に着手し、成果を挙げつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
根粒で発現するLjABCG1について、輸送基質の同定と生理的役割の解明を最優先で進める。また、LjMATE1については論文化に必要なデータをそろえ、早い段階での論文化を目指す。
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Research Products
(12 results)