2011 Fiscal Year Annual Research Report
花メリステム構築の分子メカニズム
Publicly Offered Research
Project Area | Plant regulatory systems that control developmental interactions between meristems and lateral organs |
Project/Area Number |
23012031
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
相田 光宏 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特任准教授 (90311787)
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Keywords | シロイヌナズナ / 発生 / 運命決定 / 幹細胞 / 転写因子 |
Research Abstract |
本研究では、植物の花形成時における、メリステムの運命決定と幹細胞の確立をつなぐ機能を持つ転写因子PUCHIの作用機構を中心に、花メリステムの構築の分子メカニズムを解明することを目的とする。今年度は以下の研究成果を得た。 1)puchi変異体と他の様々な花メリステム関連変異体との多重変異体の作製を進めた。その結果、多くの変異体との組み合わせで花メリステムを欠失する表現型を示すこと、および一部の変異体の組み合わせでは、発現する組織の外において著しい表現型を示した。以上から、PUCHIは他の分裂組織関連遺伝子と協調して分裂組織の形成に関わること、およびその作用機構は細胞非自律的であることが示唆された。 2)花メリステムの形成に顕著な異常を示すpuchi cuc2 cuc3三重変異体について詳しい解析を行い、この変異体では花分裂組織の代わりに鱗片状の葉を形成すること、および花原基形成の初期から花メリステムマーカーであるSTMの発現が維持できないことが分かった。また、STMをこの三重変異体で強制的に発現させると、表現型が回復した。このことから、PUCHIとCUC2・CUC3はSTMの発現の促進を介して花分裂組織の形成を促進することが視された。 3)花メリステムにおいてPUCHIと発現領域が重なるLFY、UFO、CUC1、CUC2、CUC3、BOP2について酵母twohybrid解析を行ったが、いずれの場合もPUCHIとの相互作用は検出されなかった。このことは、PUCHIがこれらのタンパク質と細胞内において独立に機能することを示しているのかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
puchi cuc2 cuc3突然変異体の詳しい解析により、STMの制御がきわめて重要であることが明らかになり、以後の解析で花メリステム構築機構解明のために集中して解析すべき対象が明確となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はPUCHI、CUC2、CUC3に着目して、これらの因子の花メリステム構築における役割を、STMの発現制御を軸に明らかにする。また、花分裂組織の形成にはオーキシンおよびサイトカイニンといった植物ホルモンが重要であり、この経路とPUCHI、CUC2、CUC3との関係を明らかにすることで、転写因子と植物ホルモンの相互作用が花メリステム構築に果たす役割を明らかにしていく方針である。
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Research Products
(6 results)