2012 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥ストレスからの回復過程におけるヒストン修飾を介した転写制御機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Plant regulatory systems that control developmental interactions between meristems and lateral organs |
Project/Area Number |
23012036
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
関 原明 独立行政法人理化学研究所, 植物ゲノム発現研究チーム, チームリーダー (80281624)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 乾燥ストレス / 再吸水による回復過程 / シロイヌナズナ / ヒストン修飾 / エピジェネティック制御 / ストレスの記憶 / クロマチン免疫沈降 |
Research Abstract |
植物には移動の自由がないため、環境ストレス変化に対して独自に適応する能力を有している。また、植物に少し環境ストレスを与えた方が、ストレスに対してより耐性を示すことが経験的に知られている。植物の環境ストレス適応には、エピジェネティックな制御を介した記憶機構の存在が考えられるが、その詳細は不明なままである。本研究では、シロイヌナズナを用いて、繰り返し乾燥や高温などの環境ストレスを与えることによって記憶される候補遺伝子をマイクロアレイ解析により探索するとともに、同定した候補遺伝子に関してクロマチン免疫沈降法によりエピジェネティックな変化について解析を進めた。寒天培地上で生育させたシロイヌナズナ植物体を用いて、乾燥ストレス処理一再吸水処理に伴う遺伝子の発現変化時の経時的なピストン修飾変動について解析した結果、幾つかの乾燥ストレス誘導性遺伝子において、ピストンH3Lys4トリメチル化が、植物における乾燥ストレス記憶に関与することが示唆された。また、寒天培地上で生育させた植物体を用いて、高温ストレス処理(37℃)を繰り返した時の遺伝子発現パターンの変動をマイクロアレイ解析により調べたところ、約60個の遺伝子において、高温ストレスの記憶による遺伝子発現の促進を示唆する結果が得られた。これら遺伝子はその発現パターンから、幾つかのグループに分類することができた。さらに、短日条件下、ポット上で生育させた植物体を用いて、繰り返し乾燥ストレス処理をかけることが可能な実験系を確立した。
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