2011 Fiscal Year Annual Research Report
根粒原基および感染糸形成を制御する分子機構
Publicly Offered Research
Project Area | Plant regulatory systems that control developmental interactions between meristems and lateral organs |
Project/Area Number |
23012038
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
寿崎 拓哉 基礎生物学研究所, 共生システム研究部門, 助教 (40575825)
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Keywords | 根粒 / ミヤコグサ / 細胞分裂 / 変異体 / 共生 / 感染糸 / オーキシン |
Research Abstract |
マメ科植物と根粒菌の共生器官である根粒の正常な発生には、根粒器官形成と根粒菌の宿主植物への侵入経路である感染糸を介した根粒菌の感染プロセスが同調的に進行することが重要であるが、その制御の分子メカニズムはほとんど明らかになっていない。本研究では、ミヤコグサを用いて、根粒原基と感染糸形成に関与する新たな突然変異体を用いた遺伝学的な解析、根粒原基形成時に特異的に発現変動する遺伝子を同定するためのトランスクリプトーム解析、さらにこの発生過程を解析する上で有用な分子マーカーの構築を行う。これらの解析を通して、根粒原基と感染糸それぞれの形成過程を制御する分子機構および2つの過程を結びつける機構を明らかにすることを目指す。 平成23年度は、根粒が形成されないことに加えて感染糸を過剰に形成する特徴的な表現型を示すdaphne変異体の解析を行った。ポジショナルクローニングの過程で、daphne変異体では染色体の相互転座が起きていることが判明した。相互転座が起きている領域の近傍には既知の根粒共生遺伝子が存在しており、この遺伝子の新たな発現制御システムの存在が示唆された。また、オーキシン誘導性プロモーターDR5によりレポーター遺伝子を発現する形質転換体を作出した。このレポーターラインを用いて、野生型と根粒共生変異体におけるオーキシンの蓄積パターンを調べることなどにより、根粒原基形成とオーキシンの制御関係を解析した。さらに、根粒原基形成時の分裂中の皮層細胞からcDNAライブラリーを作製し、次世代シーケンサーを用いたRNA-seqを行い、皮層細胞分裂時に発現が誘導される遺伝子群を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変異体を用いた遺伝学的な解析に関しては、当初は平成23年度後半に変異体の原因遺伝子の単離を完了することを見込んでいたが、予定よりも研究が早く進み平成23年度度前半で終了した。また、1部の研究内容については論文を執筆できるほどの研究成果が得られた。その一方で、他の1部の内容については研究の遅れがみられた。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題は複数の研究内容を並行して進めているが、研究内容によって進展具合に差がみられている。今後は、進行が遅れている内容に特に力を入れて研究を進めるとともに、既に成果が得られているものについては早期に論文を発表することで、総合的に研究を推進し本研究課題の目的の達成を目指す。
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Research Products
(1 results)