2011 Fiscal Year Annual Research Report
クロマトイドボディおよびmRNP構成因子の精子形成における役割
Publicly Offered Research
Project Area | The germline: its developmental cycle and epigenome network |
Project/Area Number |
23013005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柏原 真一 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (00254318)
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Keywords | 精子形成 / Argonauteタンパク質 / 翻訳制御 / MIWI/PIWIL1 / ポリ(A)鎖結合タンパク質 |
Research Abstract |
1.MIWIの機能解析…MIWI/PIWIL1は、精巣特異的Argonauteタンパク質のひとつであり、その欠損マウスでは精子形成が球状精細胞の段階で停止する。申請者らはこれまでに、MIWIがポリ(A)鎖結合タンパク質PABPC1と直接相互作用することを報告した。PABPC1は翻訳調節因子であることから、MIWIが翻訳にかかわっているのではないかと考え解析を行ってきた。MIWIをλNペプチド融合タンパク質として、またホタルルシフェラーゼmRNAのORF下流にλNペプチド結合部位であるBoxB配列を6個有するようなレポーター(F-Luc-6BoxB)とともにHEK293T細胞等で共発現させ、λNペプチドの有無によるルシフェラーゼ活性の変化を調べた(λN-tethering assay)。その結果、MIWIはAGOタンパク質と同様、レポーターmRNAの翻訳を抑制することが判明した。しかし、本年度における解析の過程でF-Lucの代わりにウミシイタケのルシフェラーゼ(R-Luc-6BoxB)を用いたところ、顕著な抑制効果は認められなかった。これらの差異の原因に関しては、現在検討中である。 2.PABPC2の機能解析…精巣特異的ポリ(A)鎖結合タンパク質PABPC2は、クロマトイドボディおよびmRNP画分に存在する。その機能を明らかにするために、PABPC2欠損マウスを作製したところ、精子形成や妊孕性において野生型との有意な差は認められなかった。しかし、精巣特異的な分子について解析を行った結果、精子特有な核構造の形成にかかわる遷移タンパク質やプロタミンの翻訳が、伸長精細胞以前の球状精細胞の段階ですでに開始されている可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
精巣特異的ポリ(A)鎖結合タンパク質であるPABPC2欠損マウスの解析は、ほぼ予定通り進行している。しかし、MIWIによる翻訳抑制機構の解析に関しては、用いるレポーターによって効果が異なるといった結果が得られたため、この点について明確にする必要性が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
精巣抽出液を用いた場合の、MIWIとPABPC1および翻訳抑制因子PAIP2との結合は明らかであるので、さらにそれらの関連について精製タンパク質を用いて明確にしたうえで、翻訳への関与について再検証する。PABPC2欠損マウスにおいては、特定のタンパク質の翻訳が早まっていることから、その機構について検討していく。
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Research Products
(9 results)