2011 Fiscal Year Annual Research Report
生殖細胞における減数分裂特異的染色体分配因子の解析
Publicly Offered Research
Project Area | The germline: its developmental cycle and epigenome network |
Project/Area Number |
23013008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石黒 啓一郎 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (30508114)
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Keywords | 減数分裂 / 染色体分配 / 生殖細胞 / 細胞分裂 / 染色体 |
Research Abstract |
新規コヒーシンサブユニットRad21Lは、精原細胞および胎生期卵原細胞の減数分裂前期においてAxial elementに局在することが判明している。興味深いことに、この局在はRec8型コヒーシンと相互排他的なパターンを示していることが判明した。これらの結果から、減数分裂の前期に見られるRad21L型およびRec8型コヒーシンの相互排他的な局在パターンがバーコードの様に作用して、相同染色体のpairingに関与しているのではないかと推測された。本研究では理研CDB動物資源開発室との共同で開発したRad21L欠損マウスを用いて相同染色体のペアリングへの寄与についてFISH法を用いて検討を行った。さらにシナプトネマ複合体の形成過程や、Spo11によるDNA二重鎖切断及びRad51/DMCによる組換え反応素過程に欠陥が見られないか検討した。さらにそれぞれのコヒーシンの欠損により、Axial Element構造および相同染色体の対合に部分的な異常が見られ、さらにRAD21LおよびREC8の二重欠損株ではAxial Elementの形成および相同染色体の対合がほぼ完全に消失した。これらの結果は、先の仮説を支持する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
RAD21LまたはREC8欠損マウスを用いた減数分裂初期のAxial Element構造および相同染色体のペアリングついて比較解析を遂行することができた。その結果、それぞれのコヒーシンの欠損により、Axial Element構造および相同染色体の対合に部分的な異常が見られることが明らかとなった。さらにSpo11欠損マウスを用いた解析からDSB非依存のペアリング機構が見出された。先年度に提唱した仮説を支持する結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
Rad21L型コヒーシンはもうひとつの減数分裂特異的Rec8型コヒーシンと局在パターンやクロマチンへの結合のタイミングにおいて相違が見られるので、ゲノム上の局在位置を同定するためChip-seq法を用いた解析が必要である。RAD21LおよびREC8欠損マウスにおいてはSC構造に異常が見られたため、電子顕微鏡を用いた解析が今後の課題となった。さらにAxial Elementの構成因子SCP3を欠損させたマウスを用いてペアリングついて比較解析を行う。
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