2011 Fiscal Year Annual Research Report
生殖系列分化と初期胚発生過程におけるプロテアーゼ活性の機能解析
Publicly Offered Research
Project Area | The germline: its developmental cycle and epigenome network |
Project/Area Number |
23013009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
服部 浩一 東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (10360116)
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Keywords | プラスミノーゲン / マトリクスメタロプロテイナーゼ / 妊娠率 / 出産率 / 精細胞 / 細胞外ドメイン分泌 / ホルモン / 不妊 |
Research Abstract |
本研究では生殖細胞の動態と受精、そしてこの過程における細胞リプログラミングにおける各種マトリックスメタロプロテナーゼ(MMP)、ADAM、ADAMTSや血液線維素溶解系に代表されるセリンプロテアーゼ等のプロテアーゼ活性の重要性を個体、細胞、分子レベルで理解し、そのエピジェネティクスによる生殖細胞系列のゲノム機能調節機構を解明することを目的とする。本年度は生体内生殖細胞の再生・分化機構における各種プロテアーゼ活性の機能解析を中心に進め、代表者らは、各種MMP及びプラスミノーゲンの遺伝子欠損マウスで、有意な妊娠率、出産率の低下を認めた他、特に後者については精巣中の精子数に有意な減少、さらに精巣重量の低下を呈していることを見出した。この背景として、プラスミノーゲンの遺伝子欠損マウスでは、男化ホルモンであるテストステロンや下垂体ホルモンの分泌に障害があり、これに基づくと考えられる貧血を呈していること、さらにテストステロン分泌の主体と考えられる精巣中のライディッヒ細胞の有意な減少も明らかとなった。現在、代表者らはこれらの遺伝子欠損マウスと野生型について停留睾丸モデルを作製し、精巣組織の再生機構と各種プロテアーゼ活性との関連性について解析中である。今後は、今年度のこれらの研究成果を基礎として、これら遺伝子欠損マウスとその野生型に対するプロテアーゼ活性化因子あるいは阻害剤の投与と遺伝子ターゲティングベクターの挿入、DNAメチル化解析及びiPS細胞作製技術による生殖細胞の動態と受精現象、細胞リプログラミングにおける各種プロテアーゼ活性の重要性を個体、細胞、分子レベルで明らかにしていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血液凝固・線維素溶解系やMMPに代表されるプロテアーゼ活性と生殖細胞系列の分化増殖機構、またこれを介したマウス妊娠との関連性を見出しただけでなく、不妊の原因におけるプロテアーゼ活性の意義ついてある程度の考察がなしえたこと、さらにこれらについて論文報告出来たことから。
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Strategy for Future Research Activity |
1.今年使用した遺伝子欠損マウス及びその野生型に対するプロテアーゼ活性化因子あるいは阻害剤の投与と遺伝子ターゲティングベクターの挿入による生殖細胞系列の動態における各種プロテアーゼの機能解明を行う。 2.さらに生殖細胞系列動態とこれによって誘導される細胞リプログラミングにおける各種プロテアーゼ活性の重要性をDNAメチル化解析及びiPS細胞作製技術により、個体、細胞、分子レベルで理解し、そのエピジェネティクスによる生殖細胞系列のゲノム機能調節機構を明らかにする。
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Research Products
(18 results)