2012 Fiscal Year Annual Research Report
生殖系列分化と初期胚発生過程におけるプロテアーゼ活性の機能解析
Publicly Offered Research
Project Area | The germline: its developmental cycle and epigenome network |
Project/Area Number |
23013009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
服部 浩一 東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (10360116)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | プラスミノーゲン / マトリクスメタロプロテイナーゼ / テストステロン / Kit-ligand / LH / 貧血 / 精巣 / 妊娠率 |
Research Abstract |
本研究では、各種生殖細胞系列の分化成熟過程におけるマトリックスメタロプロテナーゼ(MMP)、血液線維素溶解系(線溶系)に代表されるセリンプロテアーゼ等の各種プロテアーゼ活性の意義及び重要性を理解し、生殖細胞動態制御機構の解明を主目的としている。代表者らは、各種MMP及び線溶系因子プラスミノーゲン(Plg)の遺伝子欠損マウスで、有意な妊娠、出産率の低下を認め、特に後者群について、精巣中の精子数に有意な減少、さらに精巣重量の低下を見出した。代表者らは、この原因として、今年度迄の研究を通じ、Plgの遺伝子欠損マウスでは、テストステロン及び下垂体ホルモン(LH)の分泌に障害があることを見出した。また、Plg遺伝子欠損雄性マウスでは、こうしたステロイドホルモンの分泌障害に基づくと考えられる貧血を呈していること、テストステロン分泌の主体と考えられる精巣中のライディッヒ細胞が有意に減少していることも明らかとなった。加えて各種MMP及びPlgの遺伝子欠損マウスでは、生理学的ストレス刺激時の雄性生殖細胞の分化増殖因子Kit-ligandの細胞外ドメイン分泌に有意な障害のあることが判明しており、これらの各種プロテアーゼ活性が、生体内の生殖細胞系列の分化調節に様々な角度から関与していることが確かめられた。また代表者らは今年度の研究で、各種プロテアーゼ遺伝子欠損マウスについて停留精巣モデルを作製し、精巣重量を経時的に測定したところ、これらの野生型と比較して有意な重量減少と、これに応じた精巣の組織傷害が進むことが判明した。またこの時、遺伝子欠損マウスでは、血中のKit-ligand濃度の上昇が抑制されていること、さらに野生型において、Plgアクチベータの投与が精巣重量の減少を有意に阻害したこと等から、各種プロテアーゼ活性は雄性生殖細胞の分化増殖に寄与し、その再生にも関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血液凝固・線維素溶解系やMMPに代表されるプロテアーゼ活性と生殖細胞系列の分化増殖機構、またこれを介したマウス妊娠率、出産率との関連性を見出しただけでなく、男性不妊の原因における各種プロテアーゼ活性の意義のみならず、治療応用の可能性についてある程度の考察はなしえたことから。細胞リプログラミング機構との関連性についてが、今後の課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.今年度迄使用した遺伝子欠損マウス及びその野生型に対するプロテアーゼ活性化因子あるいは阻害剤の投与と遺伝子ターゲティングベクターの挿入による生殖細胞系列の動態における各種プロテアーゼの機能解明を行う。 2.さらに生殖細胞系列動態とこれによって誘導される細胞リプログラミングにおける各種プロテアーゼ活性の重要性をDNAメチル化解析及びiPS細胞作製技術により、個体、細胞、分子レベルで理解し、そのエピジェネティクスによる生殖細胞系列のゲノム機能調節機構を明らかにする。
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