2011 Fiscal Year Annual Research Report
マウス生殖細胞の雄性分化を制御するRNP複合体の解析
Publicly Offered Research
Project Area | The germline: its developmental cycle and epigenome network |
Project/Area Number |
23013011
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鈴木 敦 横浜国立大学, 学際プロジェクト研究センター, 特任教員(助教) (60467058)
|
Keywords | 生殖細胞 / RNA |
Research Abstract |
NANOSはRNA結合ドメインとして知られているzinc finger motifをもつRNA結合タンパク質である。マウスにおいては3つのホモログが存在し、そのうち生殖細胞の生存に関与するのはNANOS2とNANOS3である。NANOS3は移動期の生殖細胞に発現し、その生存に必須である。それに対して、NANOS2は雄の生殖巣に入った生殖細胞にのみ発現し、その生存に必須である。現在までの解析から、NANOS2ノックアウトマウスにおいてはNANOS3の発現が上昇することが明らかになっているが、この生理的意義については不明である。 一方、NANOS zinc finger motifは3つのシステインと1つのヒスチジンに亜鉛が配位した構造であり、RNA結合もチーフであると考えられている。実際、in vitroにおいてはRNAと非特異的に結合する能力を有することが明らかになっているが、生体内における機能は未だに不明である。そこで、このモチーフに変異を入れたNANOS2をトランスジェニックによって生体内で発現させ、Nanos2ノックアウトの遺伝的バックグラウンドに導入した。すると、NANOS3の発現上昇も起こらなかったことより、NANOS2とNANOS3のdouble loss-of-functionマウスが作製された。このマウスにおいては、Nanos2ノックアウトマウスで観察される表現型がかなり早い時期で起こることから、Nanos2ノックアウトマウスにおいてはNANOS3がNANOS2の機能の一部を担うことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は2年計画である。NANOSのzinc finger motifの機能に着目し、23年度においてはマウスの作製と表現型の観察まで行った。また、表現型が起こる原因についても大体の見当をつけることができた。以上のことから、この研究はおおむね順調に進呈していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
23年度までに論旨の核となる重要なデータを取得することができた。24年度においては、データの精度を上げることが一つの目標である。例えば、説得力のある免疫染色画像の撮影や、遺伝子発現データに統計処理を施すことである。以上のようにデータの精度を上げ、論文として発表することを本年度の目標とする。
|