2011 Fiscal Year Annual Research Report
マウス着床初期胚におけるナノグ遺伝子のリプログラミング機能
Publicly Offered Research
Project Area | The germline: its developmental cycle and epigenome network |
Project/Area Number |
23013014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
多田 高 京都大学, 再生医科学研究所, 准教授 (30188247)
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Keywords | Nanog / リプログラミング / Smad / 転写制御 / エピブラスト |
Research Abstract |
背景)ナノグ(Nanog)遺伝子は、マウスやヒトES細胞やiPS細胞の多能性維持に関わる鍵因子として知られている。 Nanog遺伝子の欠損は、着床前胚の多能性細胞の分化を、初期生殖細胞では細胞死を招くことを明らかにしてきた。しかし、着床初期胚での役割は不明のままである。 目的)Nanog遺伝子が着床前胚(ES細胞の元細胞を含む)、着床初期胚、生殖細胞でそれぞれ異なる分子ネットワークに関わり、異なる役割を総合的に理解することを目的とする。 研究実績)着床初期胚のエピブラストではNanogが重要な役割を果たすことを、Nanogの時期特異的機能欠損胚で示した。 エピブラストのNanog発現部位では、Oct4は発現するが、Sox2の発現はみられず、着床前胚でのOct4/Sox2によるNanog遺伝子の発現制御とは異なる転写制御を受けていると考えられた。着床初期胚では、Oct4/Smad2により転写が制御されていると推察し、Nanog遺伝子の転写制御領域へのOct4とSmad2の結合をクロマチン免疫沈降(ChIP)法により解析した。エピブラスト細胞を使ったChIP解析からSmad2の結合が示され、現在確定作業を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
着床初期胚でのNanogの機能および発現制御に関してOct4/Sox2からOct4/Smad2へのスイッチングが明らかになっている。平成24年度、Smad2結合領域へのDNA配列変異の導入などにより、発見が確定されれば成果発表できる。この様な状況から研究は順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)着床初期胚エピブラストを材料にしたクロマチン免疫沈降法により、Nanog遺伝子上流へのSmad2の結合を解析する。 2)着床初期胚エピブラストの代替えモデルとしてエピステム細胞を用いて、Nanog遺伝子上流のSmad2やOct4結合領域に導入されたDM配列変異が、Kanogの遺伝子発現におよぼす影響を解析する。
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