2011 Fiscal Year Annual Research Report
マウス生殖細胞形成に関わる転写制御機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | The germline: its developmental cycle and epigenome network |
Project/Area Number |
23013018
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
田中 聡 熊本大学, 発生医学研究所, 助教 (10321944)
|
Keywords | 生殖細胞 / WNTシグナル / BMPシグナル / マウス / Sall4遺伝子 |
Research Abstract |
マウス生殖細胞は、体細胞プログラムの抑制と生殖細胞/幹細胞プログラムの再活性化に伴いその細胞運命が決定される。Spalt-like-protein(Sall)-4遺伝子は、ES細胞や胚発生過程の組織前駆細胞において、その細胞分化や幹細胞維持に重要な転写因子ネットワークの制御に働く転写調節因子であることが、我々のグループの研究を含め報告されている。我々は、Sall4に依存したエピジェネティックな修飾変化による生殖細胞行体細胞運命決定に関わる転写プログラムの制御機構を明らかにすることを目的としている。これまでの申請者らの解析から、Sall4は、マウス生殖細胞の発生において必須な役割を担っていることが明らかにされつつある。Sall4を生殖前駆細胞集団で欠損させると、生殖細胞/幹細胞プログラムの再活性化はおこるが、体細胞プログラムの発現が抑制されない。そのような細胞は、内胚葉へと移動できずにやがて細胞死をおこした。また、そのような細胞では、遺伝子の発現拗制に関与すると考えられているヒストンのメチル化修飾の異常が観察された。そこで、Sall4欠損ES細胞を用いて、発現異常を示す遺伝子のヒストンのメチル化修飾におけるSall4の役割の解析をおこなった。その結果、Sall4が、NuRD complex等の転写抑制複合体を標的遺伝子にリクルートすることにより、標的遺伝子の転写抑制を行っていることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
連携して研究をおこなっていた博士研究員の女性が、任期制による雇い止めで年度途中に退職となり、彼女による技術的なザポート等がなくなり、研究傘体の進行に遅延が生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
技術補佐員等の雇用を行い、研究の推進をはかっていきたい。また、女性研究者が、長くその研究生活をおくれるような補助が必要と考える。例えば、出産等での休暇が、結果的に有期雇用期間の減少に繋がってしまう等の不利益を生じさせない、また、任用責任者が、女性研究者の育成に対してきちんとした理解を示し、その育成を補助することが必要と考えられる。
|