Research Abstract |
本研究では,体細胞核の初期化を促進する天然物を探索し,各天然物同士の種々の組み合わせを含めながら,初期化を促進すると考えられるものを選び出すことを最終目的として実施した。すなわち,滋養強壮,不妊治療傷の治療などに効果があるとされている生薬を中心とした約100種類の天然物の中から,平成16年度~19年度の基盤A研究(研究分担者)「初期化誘導活性を持つ天然物の探索;クローン個体の作出,未分化対細胞株樹立への応用」ならびに平成21-22年度の当該領域研究「天然物を利用した体細胞核の初期化促進に関する研究」の中で得られた知見に基づき,初期化の促進に有効と考えられるものがないかどうかを,マウス胚を用いて検討した。まず,前核期から胚盤胞までの体外培養時に,培地に添加して胚盤胞への発生能を向上させないかを検討した。また,胚盤胞期へ発生したものについては,細胞数が増加していないかを検討した。さらに,体細胞の培養時に培地に添加して,細胞増職能に効果がないかを検討した。その結果,これまでのところ,百数十種類の生薬を用いて調べたところ,7種類の生薬において,胚盤胞への発生能の向上,あるいは,胚盤胞期における細胞数の増加,また,体細胞の細胞増殖能の促進に効果のある可能性が示唆された。これらの生薬が,体細胞核移植卵を用いた場合にも同様に発生能を向上させる効果があるのかどうか,また,他の動物種の胚を用いた場合にも同様の効果があるのかどうかについては,現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に上げていたTCTPを用いたiPS細胞樹立を指標とした検討が遅れているものの,生薬のスクリーニング試験が当初予定より多く実施でき,発生能を向上させる働きのあるものが複数得られたため。また,業績についても,論文もIFが2.441の雑誌に掲載されるなど当初予想よりも多くなったため。
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