2011 Fiscal Year Annual Research Report
現生人類集団中に見られる絶滅古人類起源ハプロタイプより両者の混血と交替劇を探る
Publicly Offered Research
Project Area | Replacement of Neanderthals by Homo sapiens: testing evolutionary models of learning |
Project/Area Number |
23101506
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
嶋田 誠 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 講師 (00528044)
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Keywords | ネアンデルタール人 / ancient haplotype / 分子人類進化 / データベース / 多型 / hX / 学習仮説 / 1000 genomes project |
Research Abstract |
初年度である本年度、まず行ったことは、当該の新学術領域および配属先の班のメンバーたちに領域の方針や戦略をよく聞き、報告者の貢献度を最大化するプランを作ることであった。 その結果、古代人試料から解読されたゲノム配列は経年変化による塩基置換のため、現代人との比較において信頼持てる解析が限られていることを気づかされた。それが逆に報告者が計画していた、現代人集団に存在する古代人由来ハプロタイプ(ancient haplotype)の有用性になることに気づいた。経年変化のないancient haplotypeを用いることによって、古代人生体内で機能していたゲノム配列を知ることができるので、現代人と古代人との生得的能力差を推定し、本領域の作業仮説「学習仮説」を検証することを報告者の研究の一戦略とすることに決まった。 進めてきたことは、報告者の過去の研究で明らかにしたXp11_hXをはじめ、既知のancient haplotypeの連鎖不平衡領域を決定すること(1)、それら領域中で「学習仮説」に関連する形質である脳神経や行動学的形質との関連性をデータベースから検索すること(2)、現代人ゲノム中からXp11_hXをもつ現代人個体を見つけること(3)であった。 現在、(1)調査した18領域すべてのLD領域を決定したところ、7領域が元のハプロタイプ領域より拡張された。特に、10.1kbのXp11 hXはLD領域としては55.2kbであることが分かった。(2)現在までに8領域で脳・神経系表現型との関連が示す情報があることを確認した。(3)1000genomesプロジェクトのデータにXp11_hX特異的SNP alleleを示す個体が含まれていることを確認した。これにより、同ハプロタイプが含まれるLD領域の多型を取得することで古代人のLD領域ハプロタイプを推定できる見込みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
報告者の過去の研究で明らかにしたXp11_hXを含むLD領域が精神発達に関連する遺伝子の発現に一定の機能を果たす領域を含んでいることをはじめとして、当該新学術領域で掲げている学習仮説検証に有用な手がかりが期せずして見つかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1000Genomes Projectのデータのうち、Xp11_hX特異的SNP alleleを持っているとされる個体のハプロタイプを、Xp11 hXを含むLD領域にわたって決定する。他の既知ancient haplotypeを含むLD領域についても、同様にハプロタイプを決定する。これらのハプロタイプそれぞれを現代人のcommon typeと比較し、変異箇所を明らかにする。それら変異箇所について、脳・神経系あるいは行動学的表現型を示す遺伝子の発現に影響を与える部位にあたるものを選択する。それらの変異がどのように表現型に影響を与えるかをデータベースを使って推定する。得られた結果から、ネアンデルタール等の古代人と現代人との間における脳神経系の違いを推定し、学習仮説を評価する。
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Research Products
(4 results)