2011 Fiscal Year Annual Research Report
模倣行為と動機付けの連関における神経基盤の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Replacement of Neanderthals by Homo sapiens: testing evolutionary models of learning |
Project/Area Number |
23101507
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
川道 拓東 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 特任助教 (30596391)
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Keywords | 模倣学習 / 社会的行動 / 共感 / 受容行動 |
Research Abstract |
本研究においては、現代人の創造性獲得の動因となった神経基盤の解明を大目標として推進している。現代人は個体学習によって個人が得た新たな技術を、模倣学習により広く社会の構成要員が共有することで、社会としての創造性を獲得してきた。この模倣学習は、社会的行動の一つであり、教えを受ける人に受容されること、対象者との間で協調的な行動をとることの2点が重要となる。そこで、2011年度は、受容行動にフォーカスを当て、特に他者からの感情面を含めた受容行動である被共感の神経基盤の解明を目指して実験を行った。 本研究においては、受容行動に関する課題を開発し、実験的に検証を行った。実験課題は二日からなるタスクとして構成して、22名の健常成人の実験協力者を対象に行った。この実験を通じて、実験協力者は、自己に対する評価を通じて共感的態度を示されること(被共感)により、共感的態度を示した評定者と共同しての作業意向(動因)が高まることを確認した。並行して実施したfMRI(機能的磁気共鳴イメージング)計測を通じて、被共感により、内側前頭前野などの他者の意図を付度するメンタライジングに関連した領域が賦活することも確認した。これらの結果は、相手に受容されることが社会的行動の促進をするということを示唆する知見であり、社会的行動の神経基盤について検討する上で非常に重要である。また、大目標である、創造性の解明という観点からも、模倣学習を行う上で必要な能力の解明につながり、重要な知見といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した初年度の実験に関しては解析まで完了し、当初たてた仮説通りの結果を得た。よって、当初の計画通り進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度は当初の計画通り、模倣学習に重要な、2者以上によって遂行される社会的行動をターゲットに実験的研究を推進する。これにより、社会的行動における動因の解明を目指し、研究を推進する。
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Research Products
(7 results)