2011 Fiscal Year Annual Research Report
巨大ひずみ加工法による超微細粒アルミ合金の耐食性支配因子制御
Publicly Offered Research
Project Area | Bulk Nanostructured Metals -New Metallurgy of Novel Structural Materials |
Project/Area Number |
23102505
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中野 博昭 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (70325504)
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Keywords | 巨大ひずみ加工 / HPT / ECAP / 耐孔食性 / 応力腐食割れ / アルミニウム / 分極曲線 / 不動態 |
Research Abstract |
不純物としてFeを含むAlにHPT(High Pressure Torsion)処理を行い,結晶粒を微細化した後,Na_2SO_40.1mol/LおよびNaCl 8.46 mmol/L(300ppm Cl^-)の25℃の水溶液における耐孔食性を電気化学的測定により調査した。孔食電位はHPT処理により貴に移行しており,Feを含むAlにHPT処理を行うと耐孔食性は改善されることが分かった。バリア型酸化膜を形成させるホウ酸塩を含む中性溶液で定電流電解(1A/m^2)を行い電位の経時変化を調べたところ,HPT処理を行った方が電位はより速く貴な方向に移行した。これは,酸化膜の形成速度がHPT処理によって速くなることを示唆している。酸化膜の形成が速くなると塩化物イオンによる皮膜の破壊が起きた際に再不動態化し易くなり,Al合金の耐孔食性が向上すると考えられる。 次に,巨大ひずみ加工ECAP(Equal-Channel Angular Pressing)処理を施したAl-Mg合金の耐応力腐食割れ性をNaCl水溶液中における低ひずみ速度引張り試験により調べた。応力腐食割れの感受性は,実験室空気中に対する腐食液中での最大応力および破断伸びの低下率を表すI(σmax),I(δ)を指標として評価した。ECAP処理を行った方が,I(σmax),I(δ)とも小さくなっており,応力腐食割れ感受性は,ECAP処理を行った方が小さいことが分かった。腐食液中での分極曲線,定電位に保持した場合の電流密度の経時変化を調べた結果,アノード電流密度はECAP処理を行った方が小さくなっており,Al-Mg合金の耐食性はECAP処理により改善されることが分かった。ECAP処理により,Al-Mg合金のI(σmax),I(δ)が小さくなる要因としては,ECAP処理によりAl-Mg合金の耐食性が改善されることが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Feを含むAl合金の耐孔食性は巨大ひずみ加工を行い,結晶粒を微細にすると改善することが判明した。またその要因を中性溶液での定電流電解により明らかにすることができた。次に,Al-Mg合金の耐応力腐食割れ性に及ぼす巨大ひずみ加工の影響を低ひずみ速度引張り試験により明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
巨大ひずみ加工により耐孔食性が改善される要因を明らかにするためには,超微細粒Al合金の孔食発生,応力腐食割れのメカニズムを解明する必要がある。超微細粒Al合金のどのような箇所で孔食,応力腐食割れが発生してどのように成長,進展していくのかを高分解能SEMにより観察し,第2相析出物および腐食部位の組成をEPMA,EDXにより解析する。また,腐食の環境(腐食溶液の成分,温度,撹搾等)により孔食,応力腐食割れの発生挙動が異なることが予想されるので,腐食環境を変化させた状態で腐食挙動を詳細に観察する。
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Research Products
(4 results)