Research Abstract |
本研究では,バルクナノメタルの一般的な生成プロセスである強ひずみ加工のミクロ-マクロ有限要素解析を実施し,バルクナノメタル創製に資する知見を得ることを目的としている。一般的な有限要素法は要素のゆがみ・つぶれによって超大ひずみを扱うことはできないため,数値シミュレーションを実行するためには手法の拡張が必須である。平成23年度はミクロ-マクロ有限要素解析の前段階として,強ひずみ加工を有限要素法で扱うためのアプローチを検討した。 まず,要素形状の制約を受けないメッシュフリー法のひとつであるマーカー積分有限要素法を塑性加工問題へ拡張し,強ひずみ加工シミュレーションを行った。開発手法を用いて,強ひずみ加工プロセスのひとつであるECAPのシミュレーションを実施し,実験結果と比較した。ここで得られたマクロ変形履歴を用いて,材料組織の数値解析を実施した。現状では,多結晶組織を想定した数値解析を実施していないため,微細粒化シミュレーションができたわけではないが,メッシュフリー法で一連の流れを実行できたことは大きな成果といえる。 また,上記の取り組みは自作プログラムを用いたものであるが,商用汎用有限要素ソフトウェアで同様のシミュレーションを実行できれば,産業界への波及効果はより大きい。そこで,解析中に要素形状のゆがみ・つぶれを修正するリメッシュ機能を有するソフトウェアを調査し,いくつかのソフトウェアでリメッシュ機能が利用できることがわかった。この中には既に材料組織の数値シミュレーションを実施した実績があるソフトウェアも含まれており,ミクロ-マクロ有限要素解析への展開も容易に可能である。また,簡単な塑性加工シミュレーションを実施し機能を確認した。 さらに,実際の材料組織を対象とした数値解析は大規模計算となるが,現実的に扱える規模は限られるため,材料組織のモデリングについて検討も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は手法の開発・調査が目的であり,これに対してはおおむね達成できた。実際の強ひずみ加工問題への適用が非常に困難であることを再認識したが,平成24年度に取り組むための準備はおおむね整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は実際の強ひずみ加工問題の数値シミュレーションを実施する。現状,メッシュフリー法と商用ソフトウェアの2つのアプローチで試みており,本年度も並行して進めるが,産業界への波及効果を考えて,後者を優先させる。
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