2011 Fiscal Year Annual Research Report
弾性異常合金のバルクナノメタル形成機構解明と理想強度までの超高強度化
Publicly Offered Research
Project Area | Bulk Nanostructured Metals -New Metallurgy of Novel Structural Materials |
Project/Area Number |
23102514
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Research Institution | Toyota Central R&D Lab., Inc. |
Principal Investigator |
古田 忠彦 株式会社豊田中央研究所, 先端研究センター・フロンティア研究・倉本研究グループ, 主任研究員 (40394506)
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Keywords | ナノ組織化 / 弾性異常合金 / Fe-Ni-Co-Ti / 超高強度 / 高延性 / 強加工 |
Research Abstract |
平成23年度では、弾性異常を有するFe-Ni-Co-Ti系合金(bcc合金)を対象とし、High-Pressure Torsion(HPT)加工によるナノ組織化挙動と強度特性との関係を調査し、相当ひずみ10程度で50nm程度以下のナノ結晶粒組織が形成され、超高強度化することを明らかにした。そのバルクナノFe-Ni-Co-Ti系合金の塑性変形挙動を調査するために、HPT加工材から超小型圧縮試験片を作製し、その塑性変形挙動を調査した結果、高降伏応力を有すること、殆ど加工硬化することなく、十分な延性を示すことを明らかにした。その際の加工硬化指数は0.046と通常の金属材料の約1/10であった。さらに強度特性に及ぼす加工方法の検討も行い、冷間スウェージング加工(相当ひずみ;1.6)で、50nm~1μmの不均一組織が得られ、引張強さ約3GPa、伸び5%、絞り30%の特性を有するφ5mmの棒材を作製することができた。一方、形成されたナノ組織の熱的安定性を調査した結果、低温熱処理によって、ナノ結晶粒内にナノツインが形成され、引張強さ3GPaで約10%程度の延性が得られることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であった、ナノ組織化メカニズムについて、弾性異常との関係を明確化しつつある。強加工に頼らなくても、その変形メカニズムから、通常の冷間加工方法で高強度化が達成できることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、平成23年度の検討結果を基に弾性異常を有するバルクナノFe-Ni-Co-Ti系合金のナノ結晶粒の形成メカニズムならびに粒界の構造について、TEM内ナノ領域結晶方位解析システム(NanoMEGAS ASTER)を用いて詳細に組織を解析するとともに3D-APにてナノスケールでの粒内、粒界における構成元素の組成分析を実施する。また、理想強度レベルまで転位の運動を抑制する変形機構の普遍性および強化機構の解明については、ナノ結晶粒と強度特性との関係を詳細に検討する。以上の検討から、今年度実施のbcc合金に加えfcc合金への展開を見据え、ナノ組織化および高強度、高延性化の両立に必要な冶金的要因を明確化し、理想強度レベルまでの高強度化が可能なバルクナノメタルの創製に挑戦する。
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Research Products
(10 results)