2012 Fiscal Year Annual Research Report
新しいラットリング誘起超伝導体の探索
Publicly Offered Research
Project Area | Emergence of Heavy Electrons and Their Ordering |
Project/Area Number |
23102704
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣井 善二 東京大学, 物性研究所, 教授 (30192719)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ラットリング / 超伝導 / カゴ状化合物 / 比熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラットリングとは、ある種のカゴ状構造を有する結晶中での非調和大振幅振動と考えられているが、その本質の理解は未だ十分とは言えない。また、ラットリングとカゴに存在する伝導電子との相互作用がもたらす超伝導に関しても未解明な部分が多い。これまでの研究において対象となってきた物質は、βパイロクロア酸化物、スクッテルダイト、シリコン・ゲルマニウムクラスレートであるが、ラットリングに特徴的な物性が現れているのはβパイロクロア酸化物に限られている。今後、ラットリングの研究をさらに発展させるためには物質の種類を増やし、系統的な研究を行うことが重要である。本研究においては、ラットリング物質の新しい候補として、AxV2Al20(Al10V)に着目し、AがAlとGaの良質な試料を合成、および、比熱、電気抵抗、磁化などの測定を通して、その物性を明らかにした。比熱測定の結果から、Gaで8KのAlで20Kのエネルギーを有するラットリング振動が観測された。特の前者はこれまで報告された最も低いエネルギーであり、極めて激しいラットリング振動が起こっていることが分かった。しかしながら、超伝導は弱結合に留まり、ラットリングと伝導電子の相互作用はβパイロクロア酸化物と比較して小さく、ラットラーのイオン性の違いがこの原因であると思われる。また、Ga試料の場合には、カゴの約5%がGaに20-30%がAlによって占有されることも明らかとなった。現在、さらに超伝導とラットリングに関するミクロな情報を得るため、NMR測定が行われている。また、フランスのILL研究所において非弾性散乱実験が進行中である。これらの結果を総合してラットリング現象の新たな側面が明らかになるものと期待される。
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Research Progress Status |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)