2012 Fiscal Year Annual Research Report
Pr内包カゴ状化合物で発現する超伝導と電子軌道自由度の相関
Publicly Offered Research
Project Area | Emergence of Heavy Electrons and Their Ordering |
Project/Area Number |
23102718
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鬼丸 孝博 広島大学, 先端物質科学研究科, 准教授 (50444708)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 超伝導 / 反強四極子秩序 / 構造相転移 / カゴ状構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,カゴ状結晶構造をもつ化合物において,特異な超伝導状態や多彩な多極子物性,カゴ中の原子のラットリング振動などの,磁性とフォノン物性が融合した現象が注目されている。本研究では,4f電子を2個もつPrイオンを含む立方晶化合物PrT2Zn20 (T: 遷移金属)に着目し,研究を行ってきた。前年度はAFQ 秩序相内で超伝導を示すPrIr2Zn20のIrより価電子数が1つ少ないRhを含む PrRh2Zn20を作製し,AFQ秩序 と超伝導転移が同時に起こることを見出した。そこで本年度は,Rhをイオン半径に小さいCoで置換したPr(Rh1- xCox)2Zn20の試料作製と物性測定を行った。これまでにx≦0.9の系の試料作製に成功しており,x=0.9の格子定数はa=14.145(2) Aでありx=0と比べて0.9%小さくなる。磁気比熱の温度依存性において,10 K付近に現れるピークの高さはΓ3二重項-Γ4三重項の二準位モデルで再現できる。一方,0.05≦x≦0.9の系ではT3 Kでブロードな山が現れる。これは,Co置換によりPrを囲むZnのカゴが歪み,基底二重項の分裂幅がランダムに分布したためと考えられる。一方,超伝導転移温度TcはCo置換x=0.1でT0.045 Kへ低下することから,超伝導はCo置換により消失することが分かった。この結果は,四極子自由度の消失とともに超伝導状態が不安定になることを示唆する。一方,PrIr2Zn20のTQは加圧とともに上昇することから,四極子秩序は高圧下で安定する事が分かった。そのTQは1 GPa以上の圧力では飽和傾向を示す。また,国内外の測定グループに試料提供を行い,X線散乱,中性子散乱,μSR,NMR,超音波,ラマン散乱などの実験が進行中である。すでに多くの成果が得られており,そのいくつかについては原著論文として掲載された。
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Research Progress Status |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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