2011 Fiscal Year Annual Research Report
スクッテルダイト類似構造を持つ物質の重い電子状態と新奇物性の核磁気共鳴による研究
Publicly Offered Research
Project Area | Emergence of Heavy Electrons and Their Ordering |
Project/Area Number |
23102721
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
與儀 護 琉球大学, 理学部, 講師 (60404555)
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Keywords | Aサイト秩序型ペロブスカイト / 強相関電子系 / 磁性 / 低温物性 / 物性実験 / 核磁気共鳴 / 核四重極共鳴 |
Research Abstract |
本研究の目的は高い対称性と籠構造を持つ物質に生じる物性を微視的な視点から明らかにすることであり、本年度下記の研究成果が得られた。 金属的な電気伝導性を示すAサイト秩序型ペロブスカイト化合物ACu3Ru4O12(A=La,Nd)についてCu核の核四重極共鳴(NQR)を行い緩和時間T1の測定を行った。その結果、希土類元素を持たないLaCu3Ru4O12の電子状態は通常金属と同様な状態であるのに対し、4f電子を有するNdCu3Ru4O12では4f電子間の強い相関により、顕著なスピン揺らぎが発達し、約0.6Kで磁気転移を示すことが明らかになった。またCu核だけではなく、Ru核のNQR測定を試みた結果、弱いながらも信号を観測することが出来た。しかし、緩和時間を測定するほどの強度は無かったため、試料の順良化が進み次第再測定を進める予定である。LaCu3Ru4O12についてはLa核の核磁気共鳴(NMR)を行いナイトシフトを測定した。ナイトシフトはキュリーワイス則に従うような温度変化を示し、磁気秩序を示さないLaCu3Ru4O12においても、弱い磁気相関が存在することがわかった。 充填スクッテルダイト化合物CeOs4Sb12のSb-NQRを行い、核四重極周波数および非対称パラメータの温度変化を明らかにした。また、その結果を用いてSb-NMR測定からナイトシフトを求めた。その結果、スピン磁化率は温度が下がると共に増大を示し、今日自制的な磁気相関が存在することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属的な電気伝導性を示す物質については本年度予定していた実験計画は順調に進み、現在はその結果をまとめる段階にある。この結果から来年度についても問題なく研究を推進できると考えられる。一方、絶縁体である物質については緩和時間が長いなどの理由により研究が遅れがちであるため、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は非磁性基底状態が期待されるPrを有するAサイト秩序型ペロブスカイト化合物の試料を作成し、NMR/NQR測定を行う。緩和時間T1だけではなく、核四重極周波数や緩和時間T2についても測定し、結晶場やラットリングと物性の関連について研究を進める。また、充填スクッテルダイト類似構造を持つ他の結晶系についても研究を進める予定である。
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Research Products
(15 results)