2012 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能スピン分解ARPESによるトポロジカル絶縁体における微細電子構造の研究
Publicly Offered Research
Project Area | Topological Quantum Phenomena in Condensed Matter with Broken Symmetries |
Project/Area Number |
23103501
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 宇史 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10361065)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 光電子分光 / トポロジカル絶縁体 |
Outline of Annual Research Achievements |
スピン分解光電子分光装置のエネルギー分解能を向上するために、高輝度低エネルギー紫外光を発生する励起光源系と、光電子のスピン情報を得るスピン分解ミニモット検出器の最終調整を行った。 建設改良を行ったスピン分解光電子分光装置および高輝度放射光施設を用いて、IV-VI族半導体SnTeのARPES実験を行った結果、SnTeのトポロジカル電子状態は、表面ブリルアンゾーンにおいて(110)鏡映面に中心を持つ「二重ディラック錐」表面状態で特徴付けられることが明らかになった。このディラック錐構造は、Bi2Se3などの典型的なトポロジカル絶縁体が1個のディラック錐を有するのとは異なり、トポロジカル的に明確に区別される。得られた観測結果が、理論的に提案された「トポロジカルクリスタル絶縁体」の電子状態と非常に類似していることから、SnTeではトポロジカルクリスタル相が実現していると結論した。一方で、同じ結晶構造のPbTeでは、表面状態が全く観測されず、Pb1-xSnxTe固溶系におけるトポロジカル量子相転移の発現を示唆した。また、トポロジカル絶縁体Bi2Se3層の間にPbSe層を挟んだヘテロ構造を有するバルク物質(PbSe)5(Bi2Se3)3m (m = 1, 2, ∞)の電子状態をARPESで調べた結果、ディラック錐の形状がBi2Se3の層数mに依存して劇的に変化することを見出した。このことから、トポロジカル絶縁体におけるディラック電子の質量獲得には、バルクにおけるヘテロ構造の制御が有効であると結論した。 本研究全体を総括し、トポロジカル物質の物性解明やデバイス応用のためには、ディラックコーンに質量を付与しそのキャリア濃度の調整をすることが本質的に重要で、かつ、スピンに依存した電子状態を高精度で決定する事がそれらの問題の解決に直結していると結論した。
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Research Progress Status |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(18 results)