2011 Fiscal Year Annual Research Report
超流動ヘリウム3の境界と渦における新奇な状態の探索と同定
Publicly Offered Research
Project Area | Topological Quantum Phenomena in Condensed Matter with Broken Symmetries |
Project/Area Number |
23103507
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
高木 丈夫 福井大学, 工学研究科, 教授 (00206723)
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Keywords | 超流動ヘリウム3 / 渦 / 秩序変数 / NMR / Intrinsic Angular Momentum / Cooper対 / Fermi球 / 変分計算 |
Research Abstract |
超流動ヘリウム3のA相のIntrinsic Angular Momentum (IAM)問題を扱った.この問題は,軌道角運動量を露わに持つCooper対の角運動量が,観測可能であるかどうかという問題である.この問題は,超流動あるいは超伝導を問わず,Cooper対の形成がFermi球のどの範囲まで及んでいるか,さらにはそのコヒーレンスがどうなっているか,問題を含んでいる.そのため,Cooper対が軌道角運動量を持たないFermion型の超流体においても存在する問題である.この問題を扱うに際して,超伝導系はマイスナー効果により磁気的な探査が困難であるため,NMRによる測定が可能な超流動ヘリウム3-A相は最適の系である. 超流動ヘリウム3-A相を,直径0.1mmの円筒容器中に閉じ込めた系を考え,その中での軌道角運動量の秩序変数の構造(texture)を考察した.この状況では,ダイポールがロックしていないMermin-Ho textureが安定となるため,このtextureに回転を与え,その応答を変分計算により求めた.回転に対しては系の角運動量が応答するため,軌道角運動量がIAMを持つかどうかにより,応答が異なる.そのため,IAMが観測可能な場合(IAMが存在)と不可能な場合(IAMが存在しない)についての変分計算を行った.計算で得られた,双方の場合についてスピン波の固有NMR振動数を計算した.その結果,固有振動数は,IAMが存在しない場合は回転角速度の増加関数であり,IAMが存在しない場合は減少関数であることが示された.これにより,実験結果の解釈が可能になった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変分計算に際し,予定した手法で計算が完了したことで,順調に進展した.有限要素法による計算も,特に問題は発生しなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
得られた理論計算の結果をもとに,実験家の得たデータとの照合を行い,現実に出現している状況を把握し,Intrinsic Angular Momentum問題に対し結論を導く.
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Research Products
(4 results)