2011 Fiscal Year Annual Research Report
素粒子論的手法によるトポロジカル励起の研究
Publicly Offered Research
Project Area | Topological Quantum Phenomena in Condensed Matter with Broken Symmetries |
Project/Area Number |
23103515
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
新田 宗土 慶應義塾大学, 商学部, 准教授 (60433736)
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Keywords | トポロジカル励起 / 量子渦 / ボース・アインシュタイン凝縮 / マヨラナ・フェルミオン / 非可換統計 / カラー超伝導 / トポロジカル超伝導 |
Research Abstract |
研究計画は、以下の4つに分かれていた。 (1)ボーズ・アインシュタイン凝縮(スピノールBEC)におけるトポロジカル励起の研究 (2)ボーズ・アインシュタイン凝縮(2成分BEC)を用いたDブレーンの研究 (3)フェルミ原子気体におけるセルフコンシステントな厳密解とその応用 (4)カラー超伝導における渦と非アーベリアン・マヨラナ・フェルミオンの物性論への応用 そのそれぞれについて、進捗状況を報告する。 (1)Abeホモトピーという新しいホモトピーを用い、スピノールBECの位相励起の分類を行い論文にまとめた。これによると、渦が存在する場合に、モノポール電荷が渦の周りを一周すると電荷を反転させるという現象が、Abeホモトピーで理解できた。どのような場合に、この現象が起こるかの分類を詳細に行った。 (2)2成分BECにおいて、ブレーンと反ブレーンが衝突すると量子渦が生成される.この衝突の際に、ブレーン間に量子渦で橋渡しする状況を考えた。すると、衝突後生成された量子渦の輪が、橋渡ししていた渦を取り囲む場合には、この渦輪はボルトンになることを見出した。さらに、このボルトンは3次元スカーミオンと同等であることから、ボルトンと3次元スカーミオンの新しい生成機構になっていることがわかった。 (3)複素の凝縮の場合に、スピンインバランスを含めたBdG方程式のセルフコンシステントの解を求めた (4)3つのマヨラナ・フェルミオンが渦に捕らわれた場合の非可換統計を拡張し、一般に奇数個のマヨナラ・フェルミオンが捕らわれた場合の非可換統計を構成した。また、ディラック・フェルミオンが捕らわれた場合も非自明な非可換統計が存在することを発見した。さらに、複数のディラック・フェルミオンが捕らわれた場合に、さらに新しい非可換統計を構成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画のうち、(1)については、予定していたAbeホモトピーの分類の論文を出版しただけでなく、量子渦のコアの構造までわかってプレプリントで発表した。(2)については、ブレーンの衝突によるボートンの生成機構までわかってプレプリントを発表した。(3)については、予定通りである。(4)ついては、予定していたマヨナラ・フェルミオンだけではなく、ディラックフェルミオンの場合についても解明し、論文を発表した。以上、4つのテーマのうち3つは、予定以上に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、上記4つのテーマで進めていく。(1)については、渦のコアの構造をスピン1だけではなく、スピン2の場合にも適用する。(2)については、ブレーン・反ブレーンによるタキオン有効理論を構成し、ブレーンの衝突の際に出来る量子渦の統計則を明らかにする。(3)については、フェルミ気体の最も一般的なセルフコンシステント解を構成する。これまでは、AKNSヒエラルキーの一番低い場合についてのみ知られていたが、一般の場合のフェルミオン解まで構成し、さらにp波超伝導や多成分超伝導に拡張する。(4)については、マヨラナ・フェルミオンだけではなく。ディラック・フェルミオンの場合も含めて、非可換統計を示す物性系を探求し、量子計算への応用を見出す。
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Research Products
(18 results)