2012 Fiscal Year Annual Research Report
中性子で見る蛇紋石脱水反応の素過程
Publicly Offered Research
Project Area | Earth Science Based on the High Pressure and Temperature Neutron Experiments |
Project/Area Number |
23103701
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
瀬戸 雄介 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (10399818)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 蛇紋石 / 脱水反応 / 中性子回折 / 高温高圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
蛇紋石は地殻からマントルへの水の貯蔵・運搬を担う主要な含水鉱物であり、様々な地球物理的現象を理解するうえで重要な物質であると考えられている。本研究課題は、新学術領域研究で導入される高温高圧発生装置および中性子散乱実験装置を用いて、蛇紋石多形の一つであるAntigorite(高温高圧で安定)の基本的な物性および脱水反応前後の素過程の解明を目指した。 本年次では、まず前年に入手した長野県野母半島産のAntigoriteについて、電子線回折による精密な結晶構造評価を行った。解析の結果、この試料は基本構造ユニットがa軸方向に約16倍に変調した超構造をもつことが分かった。放射光X線回折による高温高圧実験では、2万気圧の下で約700℃で脱水し、カンラン石と輝石に分解することを確認した。この試料について蒸気置換法による重水素化実験を行い、赤外吸収スペクトルを評価したところ、約2/3程度までの重水素化に成功したが、残りの1/3は軽水素のままであった。これは蛇紋石構造内の水素原子位置の多重度に対応していると考えられる。重水素化した試料について、常温常圧での中性子回折実験を行ったところ、明瞭な回折ピークが観察された。ただし、精密な結晶構造を解析にするためには、重水素化をさらに進めて、軽水素に由来するバックグラウンドを軽減する必要がある。 上記と並行して、本研究では中性子検出器の幾何学パラメータの自動校正ソフトウェアを開発し、広い面積をもつ検出器全体に対して精度よくTOF(飛行時間)を集約することに成功した。さらに、得られた粉末回折パターンの相解析および格子定数精密化を自動的におこなうソフトウェアを開発し、迅速かつ正確な初期解析が可能となった。
|
Research Progress Status |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|