2011 Fiscal Year Annual Research Report
水素化物および水の超高圧相と金属転移:GW近似計算
Publicly Offered Research
Project Area | Earth Science Based on the High Pressure and Temperature Neutron Experiments |
Project/Area Number |
23103702
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
長柄 一誠 鳥取大学, 工学研究科, 特任教授 (10135676)
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Keywords | 計算物理 / 高圧固体物理 / バンド計算 / GW近似計算 / 金属転移 / 圧力誘起相転移 |
Research Abstract |
高圧下での金属転移圧を評価で有用性か明らかになって来ている、GW近似計算を用て、水素化物を中心に圧力誘起金属転移圧の予測を行うことをめざしている。 本年度では 1)まずYH_3を詳しく調べGW計算精度の確認を行った。この物質は低圧で絶縁体であるが通常のLDA,GGA計算では金属的なバンド構造となってしまう。対角項のみを摂動で扱う通常のGW計算では、詳細に調べるとやはりバンドの交差が除かれないことがわかった。この欠点を取り除くには非対角項を考慮したGW計算が必要であることがわかった。これはGeで見られる金属的バンドギャップと共通の問題点である。バンド構造的にフェルミレベル近辺の上下バンドの分散曲線に交差がないようなバンド構造の場合にはこの問題は起こらず、対角成分のみを考慮したGW計算で十分であることもわかった.GW計算はECALJという鳥取大の小谷岳生氏等が開発を行っているコードを用いたが、VASPを用いた同様の計算結果と比べ、ギャップの値の信頼性の検証も行った。両手法のギャップは0.1eV程度の誤差であるが、VASPの方が少し小さい値を示した。金属転移圧にして数GPa程度VASPの方が小さい。この程度の差は、LMTOとPAWポテンシャルの差、GW計算の近似精度からして、許容されるべきものである。結果は日本物理学会、高圧討論会で報告した。 2)その他にLiの高圧絶縁相に対するバンドギャップもGW計算も行い、調べた。YH_3の結果を考えると、LDA,GGAでギャップが存在しないとして無視されているいくつかの構造についても、調べる必要があると思われる。インドでのAIRAPTで結果のいくつかは報告した. 3)構造は圧力誘起金属転移には最も重要な情報であるため、現在第一原理計算による予測構造が実験と異なっていて問題となっているCaについても、その問題点を明らかにするべく研究を行っている。結果はヨーロッパ高圧会議(EHPRG)でも発表した。
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