2011 Fiscal Year Annual Research Report
水型液相間転移の第二臨界点近傍での液体の構造的特徴
Publicly Offered Research
Project Area | Earth Science Based on the High Pressure and Temperature Neutron Experiments |
Project/Area Number |
23103703
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
渕崎 員弘 愛媛大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10243883)
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Keywords | 相転移 / 液体 / 高圧 / 中性子回折 / 構造解析 |
Research Abstract |
ヨウ化錫の液相間転移のシナリオ ヨウ化錫の二液相状態に関して、高圧下での放射光X線その場観察によって、これまで報告者らが得た知見が液相間(第二臨界点)シナリオで矛盾なく、半定量的に説明ができることを示した。ただし、シナリオの完成には液相間に不連続な転移がある実験的証拠を見出す必要があるが、平成23年度までに行った放射光X線吸収によるヨウ化錫液体の密度測定の結果、ほぼそれを手中に射止めている。平成24年度内に論文発表する予定である。水系と異なり、第二臨界点付近の温度・圧力には比較的容易にアクセスすることができることになる。人類初の第二臨界現象の定量的な観察が行えそうである。 高温・高圧実験での液体の保持法 化学的に活性なヨウ化錫液体を安定に封入することは困難であった。この困難と5年以上闘った結果、ダイヤモンドスリーブを試料容器本体に、パイロリティソク窒化ホウ素(PBN)を蓋として用いる保持法にたどり着いた。PBNは加熱により軟化し、圧力の伝達能力が増す。これによって、荷重印可ではなく、昇温によって、圧力の微制御が可能であることを示した。この方法は他の試料についても有効である。この方法の有用性を論文により公表した。 ヨウ化錫低圧結晶相の状態方程式 ヨウ化錫系に対する熱力学的測定は極めて乏しい。その化学活性により金属ワイヤーを導線に用いる比熱測定すら困難である。そこで、これまで報告者らが蓄積した低圧結晶相の構造特性をもとに、状態方程式を求め、論文発表した。再現性については平成23年度後期に行った実験で確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
J-Parcの高圧ビームラインに設置する高圧発生プレスの設置が遅れたため実験公募がなされなかった。平成23年度末に設置され、現在、調整を兼ねた実験が行われている。平成24年度後期実験からの公募実験に応募し、予定している実験を行うつもりである。
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Strategy for Future Research Activity |
非晶質構造の新解析法の開発については、現在までに得られている放射光X線実験によるものをその対象に選ぶことにした。また、その予備段階の開発に博士課程学生を投入することにした。
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Research Products
(6 results)