2011 Fiscal Year Annual Research Report
マントル遷移層をモデル化した超高温・高圧下での水素結合性液体と溶媒和イオンの構造
Publicly Offered Research
Project Area | Earth Science Based on the High Pressure and Temperature Neutron Experiments |
Project/Area Number |
23103704
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
高椋 利幸 佐賀大学, 工学系研究科, 准教授 (70291838)
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Keywords | カンラン石 / 塩化カルシウム水溶液 / 水和構造 / 水分子間水素結合 / J-PARC / PLANET / SPring-8 / 温度・圧力効果 |
Research Abstract |
本研究では、マントルの主成分であるカンラン石に含まれる陽イオンMg^<2+>,Ca^<2+>,Fe^<3+>がマントル遷移層における超高温・高圧下の水中で形成する水和構造を、J-PARCに設置された超高圧中性子回折装置PLANETを用いて明らかにすることを目的とする。特に、中性子散乱法の利点を生かして第2溶媒和殻以降での水分子間水素結合や水素イオンの寄与について原子レベルで解明する。 塩化カルシウム水溶液CaCl_2・RH_2O(R=10)を対象として、PLANET実験の実施を計画していたが、震災後のJ-PARCの復旧に時間を要しているため実験が進展していない。そこで、SPring-8BL14Bに設置されたキュービックアンビル型高温高圧発生装置を用いてX線回折像を測定し、動径分布関数を得ることでCa^<2+>の水和構造を決定することにした。測定条件は、(1)等温300Kで圧力を0.5GPaから2.0GPaまで、(2)等圧1.0GPaで温度を400Kから700Kまでの2種類である。常温・常圧下でのCa^<2+>の6配位八面体水和構造と比較することで水和構造に対する温度および圧力効果を議論する。また、Cl^-とのイオン対形成の有無を考察する。 X線回折実験中に、水溶液試料はダイヤモンド容器(2.5φ-1.6L-1.5φ-1.2L)に保持する。ダイヤモンド容器は製作を終えている。高圧セルは、過去に水の高圧実験で使用実績のあるデザインのものを用いる。ダイヤモンド容器を高圧セルにセットし、これをキュービックアンビル型高温高圧発生装置に設置してX線回折測定を実施する。すでに、SPring-8のマシンタイム48時間を確保し、平成24年5月に測定を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
震災後のJ-PARCの復旧に時間を要しているためPLANETを用いた高温・高圧下の中性子散乱実験が実施できていない。SPring-8 BL14Bに設置してあるキュービックアンビル型高温高圧発生装置を用いてダイヤモンド容器に保持した塩化カルシウム水溶液に対するX線回折実験を行い、Ca^<2+>の水和構造に対する温度および圧力効果を観測することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
SPring-8 BL14Bを用いた高温・高圧下のX線回折実験の結果をもとに、中性子散乱実験の条件を設定する。X線回折実験でも、これまで報告のない高温・高圧下の実験を行うため、基礎的研究としての価値は高い。
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Research Products
(25 results)