2012 Fiscal Year Annual Research Report
マントル遷移層をモデル化した超高温・高圧下での水素結合性液体と溶媒和イオンの構造
Publicly Offered Research
Project Area | Earth Science Based on the High Pressure and Temperature Neutron Experiments |
Project/Area Number |
23103704
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
高椋 利幸 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70291838)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | SPring-8 / 溶液X線回折法 / 塩化カルシウム / 水和構造 / 超臨界状態 / 脱水和 / イオン対 / 結晶化 |
Outline of Annual Research Achievements |
海底熱水口付近で方解石などの含カルシウム鉱物は、臨界点を超えた水にさらされている。高温高圧下では水の自己解離が起こりやすく、H+がCa2+の溶解析出平衡に寄与していると考えられる。超高温高圧下でのCa2+の水和構造を明らかにすることは、Ca2+の鉱物形成や生態系に対する影響を解明する上で重要である。本研究では、SPring-8 BL14B1に設置された高温高圧発生装置を用いて、CaCl2・10H2OおよびCaCl2・25H2O溶液に対する溶液X線回折測定を行った。 定温条件300 K, 0.8-1.6 GPaにおいてCaCl2・25H2O溶液中では、常温常圧と同様にCa2+およびCl-は水6分子によって水和された八面体構造をとる。一方、CaCl2・10H2O溶液では、Ca2+は4.2個の水分子により水和され、1.3個のCl-とイオン対を形成している。Cl-は6-7分子の水分子により取り囲まれている。しかし、どちらの溶液中でも両イオンの水和構造に加圧による大きな変化はなかった。 昇温条件373-673 K, 0.8-1.4 GPaにおけるCaCl2・25H2O溶液中では、Ca2+の水和数が5まで減少し、0.15個のCl-がCa2+の第1配位圏に入ってくる。臨界点に近づいてようやくイオン対を形成する傾向が見られた。一方、CaCl2・10H2O溶液では昇温にともなってCa2+の水和数は3.2まで減少し第1配位圏のCl-は1.4個まで増加する。また、臨界点以上ではCl-の水和数も4.6個まで減少する。 これらの結果は、CaCl2・10H2O溶液中では昇温・加圧によりCa2+とCl-の脱水和が進行し、イオン対形成が促進されることを示している。このことは、結晶化の初期過程をとらえたことを意味している。一方、CaCl2・25H2O溶液中では超臨界状態でもイオン対は形成しづらい。
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Research Progress Status |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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