2011 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化酸化物ナノスピントロニクス
Publicly Offered Research
Project Area | Materials Design through Computics: Complex Correlation and Non-equilibrium Dynamics |
Project/Area Number |
23104507
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 秀和 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (80294130)
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Keywords | 強磁性半導体酸化物 / 強誘電体酸化物 / ヘテロ界面 / ナノ構造 / 自己組織化 / 電界効果トランジスタ / 温室強磁性 / スピントロニクス |
Research Abstract |
遷移金属酸化物は、室温を大きく超える強磁性、非常に巨大な強誘電性など、巨大物性を示す魅力的な物質材料群である。しかし、微細加工が非常に困難であり、未だ薄膜デバイス形成に留まっている。この問題に対し、自らが見出した室温を遥かに超える転移温度を有する強磁性半導体(Fe,Zn)_3O_4および巨大な自発電気分極を有するBiFeO_3を対象とし、自己組織化酸化物ナノ相分離成長により強誘電体ピラー/強磁性半導体ナノ超構造体を実現し、今までにない新たな酸化物ナノ構造形成を実証した[T.Sakamoto,H.Tanaka et al,Jpn.J.Appl.Phys.51,035504(2012).]。さらに、第一原理マテリアルデザインと実験の融合の元、強磁性半導体相が強誘電体相で取り囲まれた電界効果トランジスタ構造となるようナノ相分離成長をより一層高度化させ、種結晶を配置した基板上において逐次相分離成長させることにより、強磁性半導体(Fe,Zn)_3O_4ナノピラーが強誘電体BiFeO_3中に埋め込まれた3次元ナノヘテロ構造体の作製に成功した。このナノ構造作製を通じ、種結晶配置の制御により自然発生的であった自己組織化ナノ相分離成長を人工的に制御できることを実験的に初めて明らかにし、従来では微細加工が非常に困難であった遷移金属酸化物に対して新たなナノ構造形成法を確立した。作製に成功した(Fe,Zn)_3O_4BiFeO_33次元ナノヘテロ構造体は、特にスピントロニクス分野においては、微小な電界により室温でスピンスイッチングを可能としスピンデバイスの低消費電力動作が可能と予測され、情報化社会に大きな意義を有するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
逐次進行するナノ相分離により、酸化物強磁性半導体ナノピラーを強誘電体母相中に形状を制御して成長させた3次元ナノヘテロ構造体の作製に成功しており、予定通りの進展ををみせている。さらに、そのナノヘテロ構造体の作製を通じて、基板上に成長起点となる種結晶を配置することによりピラー相と母相の反転成長を見出し、今までにない新たなナノ構造形成法の一つを確立することができたことは当初の計画以上に進展した点である。
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Strategy for Future Research Activity |
半導体スピントロニクスの大きな目標である、強誘電体ゲートを持つ強磁性電界制御効果トランジスタによる、室温度の電界による強磁性制御を行う。強磁性半導体ナノピラーに対し、効果的なスピンキャリア濃度の制御により微小外場で巨大な物性応答が得られるよう、相分離ナノピラーの直径を100nm径から5nm径まで系統的に制御し微細化を行う。強誘電相への電界印加により、強誘電体/強磁性半導体ナノピラー界面を通じて誘起される磁性および電子輸送特性変化を評価し電界効果トランジスタ特性を評価する。ナノ超構造体デバイスのサイズとナノスケールにおける機能特性の相関を評価し、その構造的・物理学的知見を材料作製にフィードバックすることによって、より高性能な材料の創出を行う。
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