2011 Fiscal Year Annual Research Report
超短時間領域におけるグラフェンの電子・格子結合ダイナミクスの研究
Publicly Offered Research
Project Area | Materials Design through Computics: Complex Correlation and Non-equilibrium Dynamics |
Project/Area Number |
23104515
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
北島 正弘 防衛大学校, 応用科学群, 教授 (00343830)
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Keywords | 電子・格子間相互作用 / グラフェン / 超高速現象 / 非平衡課程 / フォノン |
Research Abstract |
1.グラフェン試料作成 グラフェンは、主として不純物添加シリコン基板上のSiC薄膜の真空での高温処理法により作成した(GOS:Graphene On Silicon)。GOSは試料面積は十分大きく超高速測定に有効であるが、欠陥を多く含まれる。そのため、欠陥の少ない剥離グラフェンおよびCVDグラフェンの作製も併せ行った。 2.グラフェンのコヒーレント光学C=C振動の検出 GOS試料について、グラフェンの高周波数の光学振動モードである結晶ピーク(Gモード)および構造乱れピーク(Dモード)のコヒーレントフォノンを高い感度で検出することが出来た。 グラフェンに特異的な電子-格子間相互作用ダイナミクスを調べるため、特にコヒーレントD-モードフォノンの観測データについて、周波数変動(フォノンチャープ)や緩和時間の詳細な解析を行った。その結果、観察されたフォノンチャープは広い周波数領域を持つフォノンの重ね合わせにによって起き、光学フォノン波束がグラーフェンの結晶粒界から内部に向かって伝搬する現象に対応することが分かった。 3.コヒーレントGモードフォノンのゲート電圧効果およびそのためのデバイス作製 グラフェン表面に金蒸着した(2層)グラフェンデバイスを作製し、グラーフェンとシリコン基板間に直流のゲート電圧を印加した状態で、コヒーレントフォノンの測定(室温)を行った。G-モードの周波数に僅かであるが、電圧の効果が認められた。ゲート電圧の印加に接触抵抗の問題が少ないと考えられるイオン液体を使う方法も検討している。 4.その他:共同研究 Siのグラフェン構造の創成及び光学特性について、東工大の平山グループとの共同研究を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グラフェン及びそれらのデバイスの作製を幾つかの手法で行い、それらのコヒーレントC=C伸縮振動を超短時間領域で観測し、グラフェン構造に由来する特異な電子-格子間(e-ph)相互作用ダイナミクスの一端を既に捉えた。また、直流電圧印加試料についても超高速e-ph相互作用の観測を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
直流電圧印加下での超高速e-ph相互作用ダイナミクスのより効率的測定・解析を行うために、1)試料特性(面積、電気的接触特性、耐電圧性)に優れた電圧印加デバイスの作製、2)超高速検出の高感度化(積算回数、励起光パワーの増加など)、3)熱雑音を除去するなどのために極低温測定の高度化を計画する。
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Research Products
(10 results)