2011 Fiscal Year Annual Research Report
架橋カーボンナノチューブにおける励起子ダイナミクス
Publicly Offered Research
Project Area | Optical science of dynamically correlated electrons in semiconductors |
Project/Area Number |
23104704
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 雄一郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (60451788)
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Keywords | ナノチューブ・フラーレン / 光物性 / 物性実験 |
Research Abstract |
2011年度は単層カーボンナノチューブにおける励起子拡散のカイラリティ依存性の調査を中心に研究を進めた。 単層カーボンナノチューブ本来の励起子物性を計測するために、基板と接することのない架橋構造を用い、カーボンナノチューブの合成を最終段階で行うことにより、清浄な状態での測定を行った。まず、励起分光を用いてカイラリティを同定したうえで励起子拡散長を調査した。すでに報告のある(9,8)と比較するため、直径の異なる(8,7)と(11,7)を中心に測定を進めた。単一のカーボンナノチューブのフォトルミネッセンス強度が架橋幅に対してどのように変化するかを調査し、拡散方程式を用いたモデル計算と比較することによって励起子拡散長を求めた。直径が大きいほど拡散長も長くなるという傾向が示唆される結果をこれまでのところ得ている。 また、このような測定では、効率よくデータを収集することが必要となるため、測定プロセスの自動化・高速化にも取り組んだ。3次元自動ステージにより広範囲のフォトルミネッセンスを測定し、励起子拡散に適したナノチューブを自動で探索するシステムを開発した。自動で焦点合わせを行うことにより広範囲測定が可能になり、座標変換を用いて位置合わせを容易にした。 また、励起子-励起子消滅過程の影響を調査するため、架橋幅の大きいナノチューブに対して励起強度を上げて励起子密度を高めた測定を行った。高強度励起では、発光波長のシフトという想定していなかった現象がみられており、今後検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに2つのカイラリティにおいて励起子拡散長の測定に成功しており、測定手法は確立できている。多量のデータが必要だが、効率化も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、励起子拡散のカイラリティ依存性を明らかにする。また、励起子-励起子消滅課程の影響調査については、高励起強度で想定していなかった現象が見られたが、低めの励起強度のデータを解析することで十分な知見が得られると考えている。
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