2011 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡状態の非線形感受率
Publicly Offered Research
Project Area | Optical science of dynamically correlated electrons in semiconductors |
Project/Area Number |
23104707
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 明 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10242033)
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Keywords | 非線形光学応答 / 非平衡物理 / 強励起 / 光物性 / 分子動力学法 |
Research Abstract |
応募者による、非平衡量子統計力学分野の一般論を、光科学で問題にする、動的なポンプ場で駆動される非平衡状態の応答に拡張した。具体的には、単一バンドの電子系の場合の定式化を完成し、論文として発表した。この理論は、電子間相互作用も、電子格子相互作用も、不純物や欠陥もあっても適用できる、非常に強力な理論である。 ただし、単一バンドの電子系、という制限がある。 そこで、さらに、この成果を、マルチバンドの電子系に拡張する試みを始めた。その中で、従来の光物性モデルにinconsistencyがあることを発見し、現在その解決を研究しつつある。具体的には、理論解析の出発点に採用するハミルトニアンと電流演算子に、電子の自由質量を用いるべきか、有効質量を用いるべきかが、首尾一貫しておらず、そのために結果も(たとえ厳密に計算を遂行できても)、大きく異なってしまう、という問題点である。これは、まさに光物性の根幹を確立する研究になりつつあり、予想外に時間がかかる要因になってはいるものの、完成した暁には、光科学に大きく寄与すると思われる。 また、物質の非線形応答を分子動力学法により求める、という研究を推し進め、基礎データがとれるところまで進展した。具体的には、物質の電場に対する非線形応答を、複数のプローブ電場の周波数の様々な組み合わせについて、分子動力学法で求めることができつつある。この研究は、何件も学会発表を行うほどに、進展しつつあるが、周波数の高い部分での誤差がまだ十分に小さい値には達していないので、現在、その原因を探っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
応募者による、非平衡量子統計力学分野の一般論を、光科学で問題にする、動的なポンプ場で駆動される非平衡状態の応答に拡張することにより、単一バンドの電子系の場合の定式化を完成し、論文として発表したから。
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Strategy for Future Research Activity |
従来の光物性モデルにinconsistencyがあることを発見したので、何はともあれ、その解決を優先する。その後に、理論をマルチバンドの電子系に拡張する。
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Research Products
(15 results)