2011 Fiscal Year Annual Research Report
原子・電子による複合ボソンのオプトメカニクス
Publicly Offered Research
Project Area | Optical science of dynamically correlated electrons in semiconductors |
Project/Area Number |
23104712
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
金本 理奈 明治大学, 理工学部, 准教授 (00382028)
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Keywords | 光共振器 / 放射圧 / 機械振動子 / 縮退フェルミ気体 |
Research Abstract |
本研究の目的は近年著しい実験の発展を遂げているオプトメカニクス研究において、ナノからミリサイズのトップダウン型の機械振動子(TD-MO)だけでなく、原子や電子等ミクロな構成要素の集団運動に対応するボトムアップ式の振動子(BU-MO)と光のオプトメカニカルな相互作用の効果を明らかにすることであった。 本年度は光共振器にトラップされた原子の集団運動の直交位相振幅スクイージングについて調べた。まず縮退原子気体の一般的傾向を調べるため、ボース凝縮した原子気体を共振器に閉じ込め、ポンプ光の強度を振動子の固有振動数で時間変化させることによる原子の集団運動のスクイージングを散逸を含めて数値計算で調べた結果、原子の振動子もマクロな振動子と同様にスクィーズされることが確認された。通常のTD-MOでは一般に環境の熱揺らぎがスクィーズを直ちに破壊するが、冷却原子気体では原子と光の一光子あたりの結合強度が強く、さらに熱揺らぎがあらかじめ抑制されていることから、BU-MOでは効率よくスクィーズされることを見出した。 一方、TD-MOの中でも縮退フェルミ原子気体の粒子-正孔対励起による機械振動子は右励起・左励起の2モードを分離して考えられることから、共振器モードと合わせて合計3モードの系である。そこで縮退縮退原子系では熱揺らぎを無視し、系のハミルトニアンから得られる時間発展のユニタリー演算子を詳しく調べた。結果、時間発展演算子は非線形光学における光Kerr効果と等価な効果を引き起こし、さらに原子の粒子-正孔の左・右励起の2モード間のスクイージングハミルトニアンに対応する形となることを導いた。このことは同時に、フェルミ原子の右励起と左励起の間には量子力学的相関が存在することを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画ではH23年度前半には第一段階の計算を終了させ、9月頃に共同研究者と論文投稿に向けた研究打ち合わせを予定していたが、7月頃に当初計画の方法に加えて、新たな方法を採用することが必要となった。また本研究の最終目的は、中性フェルミ原子の系から電子の粒子・正孔励起対へと拡張し、実現可能と考えられる系を想定して理論を発展させることであるが、このような微視的な振動子を用いた実験の絶対数が少なく、年度内は電子系に関する研究は情報収集・調査が主な活動となった。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では特定の具体的な実験のセットアップに重点を置きすぎず、中性フェルミ原子系と電子系との理論上の接点を広く探りながら、一般性をもつ計算に目を向けて研究を遂行する。
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Research Products
(6 results)