2011 Fiscal Year Annual Research Report
多成分量子モンテカルロ法を用いた電子正孔系の研究
Publicly Offered Research
Project Area | Optical science of dynamically correlated electrons in semiconductors |
Project/Area Number |
23104714
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
前園 涼 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (40354146)
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Keywords | 電子相関 / 電子正孔系 / 半導体二層膜 / エキシトン / エキシトン・モット転移 / 量子モンテカルロ法 / 電子状態計算 / 拡散モンテカルロ法 |
Research Abstract |
電子正孔系が織りなす多彩な物性相発現と、その量子相制御を念頭に、中間領域を含めた相図の大域的様相や、その内部構造に及ぼす電子相関の効果を、信頼性の高い拡散量子モンテカルロ法を用いて明らかにする。本課題は、電子の交換相関に対する励起子効果の基礎的知見開拓や、励起子を素材とした量子凝縮の様相を探る基礎研究にも相当する。当該手法に従来用いられる節固定近似を超えた信頼性を確保し、国際的にも最尖鋭の成果を達成すべく、バックフロー自由度を含めた多体試行関数を高い精度で数値最適化し、二体の密度行列値から、秩序パラメタを直接算定して相境界を同定する。 当該年度においては、二次元電子正孔系の、流体相と励起子相の相境界同定を進行させると共に、更にウィグナー固相まで統一的に記述するジェミナル型の多体波動関数の実装を進めた。電子相関の影響を信頼性高く記述するため、バックフロー自由度による試行関数の節構造変調を取り入れた。このスキームでは、従来のエネルギー値比較による相境界同定が不可能となるため、代わりに二体密度行列から非対角長距離秩序を算定し秩序相の出現を同定した。 電子密度を横軸、二層間の距離を縦軸とした広域な相図上で、32 x 32 = 1024点のグリッド上で、広域なサーベイを行い、相境界の細かな様相を明らかにした。新たな知見として、高密度領域(rs=1.0)におけるペアリング相の安定な存在(先行研究では安定ではないという結論が報告されていた)を見いだした。 当該研究に携わっていた博士研究員の転出による研究協力者の確保難を事由として予算繰越を行った。この予算を研究補助員雇用などに充当し、繰越計画通りデータ処理と精査、とりまとめを遂行した。データ処理の過程で新たに、本手法が、励起子分子相の出現を記述している事が明らかになり、続く計画年度での論文出版を更にインパクトの高いものとする事が出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
低密度側の領域に、新規の知見を発見しつつある。結果は非常に順調に揃いつつあり、当初、想定していたよりも内容の充実した原著論文にまとまるものと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の成果として、層間距離が小さく比較的低密度の領域において、バイエキシトン相の出現を反映していると思われる振舞いが観測される様子を見いだした。本年度は、この領域に注目し、バイエキシトン相の出現に伴う秩序パラメタの減衰変化や、その出現領域の同定に取り組む。また、バイエキシトン相の記述に適した試行関数を並行して開発する。
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Research Products
(15 results)