2012 Fiscal Year Annual Research Report
キャリア密度の制御された半導体共役ポリマーにおける動的相関効果
Publicly Offered Research
Project Area | Optical science of dynamically correlated electrons in semiconductors |
Project/Area Number |
23104716
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鵜沼 毅也 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20456693)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 有機半導体 / 共役系 / テラヘルツ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続いて,半導体共役ポリマーのキャリア密度制御を行い,光学的・電気的性質を調べた。 1. 直流伝導度が約100から1000S/cmに亘る複数の高導電性ポリアニリン薄膜を用意し,透過配置のテラヘルツ時間領域分光を行った。一般に,導電性の高い試料に対してテラヘルツ波の透過強度と位相シフトの両方を十分な大きさで得ることは容易でないが,本年度の実験では,試料膜厚の最適化および測定系の信号対雑音比向上を注意深く進めた。その結果,上記薄膜試料の系統的な透過測定に成功し,共役ポリマーにおける高密度キャリアの複素伝導度スペクトルを直接的に決定することができた。直流伝導度の上昇と相関して,テラヘルツ領域の複素伝導度スペクトルではキャリアの局在性が弱くなる様子が観測され,特に直流伝導度500S/cm程度を境にして,非局在化の度合いが著しくなることが分かった。 2. ポリチオフェン薄膜の分子鎖配向および化学ドーピングを行い,テラヘルツ領域の複素伝導度スペクトルを測定した。配向に対してテラヘルツ波の電場を平行にした場合と垂直にした場合とで異なる複素伝導度スペクトルが得られ,薄膜の電荷輸送における分子鎖の一次元的形状の寄与が明らかになった。 3. 共役ポリマーのマクロな光学的・電気的性質とミクロな構造の間の関係を探るために,原子間力顕微鏡でナノスケールの電流分布像を観察した。観察用試料としたPEDOT-PSSは,共役ポリマーで導電性を担うPEDOTとドーパントで絶縁性をもつPSSの混合物であり,薄膜作製の過程でエチレングリコール等の有機溶媒を添加するとマクロな導電性の向上を示すことが知られている。得られた電流分布像から,エチレングリコール添加によって伝導領域が細かく分割され,伝導領域間の実効的距離が減少し,マクロな面内伝導度の上昇に大きく寄与していることが分かった。
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Research Progress Status |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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