2011 Fiscal Year Annual Research Report
半導体ナノ粒子への不純物ドープによるキャリア密度制御と新規発光過程の探索
Publicly Offered Research
Project Area | Optical science of dynamically correlated electrons in semiconductors |
Project/Area Number |
23104719
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
石墨 淳 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教 (10346314)
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Keywords | 量子ドット / 光物性 / 活性不純物 |
Research Abstract |
半導体ナノ粒子への不従物ドープによるキャリア密度制御を行い、ドープしたドナー電子が受ける量子閉じ込め効果の影響について研究するため、より良質な試料の作成手法の開発を行った。CdSナノ粒子コアをZnSシェル層で覆ったコア/シェル型ナノ粒子(CdS/ZnS)をドナードープの母体材料とし、II-VI族化合物半導体中でドナーやアクセプターとなる不純物をドープしたものを試料として作製を試みた。これまでは、室温で容易に合成可能な逆ミセル法を用いてきたが、より良質な試料を作製するため、新たに高温有機金属合成法でのナノ粒子合成法を導入し、試料作製手法を確立した。本年度は、新しい試料作製手法を導入するにあたって、多くの研究成果が得られているMnイオンをドープしたCdS/ZnSコア/シェル型ナノ粒子を作製し、これまでの研究成果との比較を行った。高温有機金属合成法で作製したナノ粒子では、明確なバンド端発光とMn発光が観測された。これらの発光効率は、逆ミセル法で作製した場合に比べて約10倍程度増強していた。また、粒子サイズの均一性も逆ミセル法で作製した場合よりも優れており、透過型電子顕微鏡像では自己組織化によって配列したナノ粒子の像を観測することができた。また、本試料作製手法によって、ナノ粒子コア、シェル、コア/シェル界面へのMnイオンのドーピングに成功し、ドナー原子のドープ位置制御によるキャリア注入に関する研究につながる成果が得られた。高温有機金属合成法によるCdSナノ粒子へのMnドーピングの手法を確立したことにより、ドナー(Al)、アクセプター(Ag)のドーピングも可能となり、作製したAl,AgドープCdS/ZnSナノ粒子において、ドナー・アクセプターペア発光と思われる発光が観測された。本発行を詳細に調べることで、ナノ粒子におけるドナー電子の量子閉じ込め効果の影響を調べることができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
23年度中に、ナノ粒子にドナー・アクセプターをドープする手法を確立し、局在状態の形成やキャリア密度の制御を行う予定であったが、高温有機金属合成法によるナノ粒子への不純物ドーピングでは、温度など試料作製条件を繊細に制御する必要があることがわかり、この条件出しに予想外に時間を取られた。しかし、23年度中にドナー・アクセプターのドーピング手法の確立までは到達した。
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Strategy for Future Research Activity |
試料作製手法が確立したため、研究計画通り、局在状態の形成やキャリア密度の制御を行い、レーザー発振を実現し得る新しい発光過程の探索を行う。
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Research Products
(3 results)