2012 Fiscal Year Annual Research Report
量子ドットにおける超放射現象と位相緩和
Publicly Offered Research
Project Area | Optical science of dynamically correlated electrons in semiconductors |
Project/Area Number |
23104724
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
江藤 幹雄 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00221812)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 量子ドット / メゾスコピック系 / 量子エレクトロニクス / 電子格子相互作用 / 超放射 / 非平衡輸送現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、量子ドット集合系におけるボソン場を介した電子相関の生成、およびそれに起因する新奇物理現象の理論的解明である。平成24年度は、2重量子ドットにおける電子と光学フォノンの結合に関して次の研究成果を上げた。 1.2重量子ドットの電気伝導による光学フォノンレーザーという新しい理論を作った。ドット間のエネルギー準位差を光学フォノンのエネルギーに一致させ、電気伝導に伴うフォノンの放出を考える。量子ドット中の電子と結合する半導体基板中の光学フォノンは、分散関係が無視できるため拡散せず、それ自体がキャビティの役割をする。したがって、フォノンを閉じ込めるキャビティの作製は不要である。電子の反転分布は、有限バイアス下の電流によって実現される。量子ドットとリード間のトンネル率がフォノンの崩壊率より大きいときにフォノンレーザーが発振すること、逆の場合はフォノンのアンチバンチングが生成されることを、数値計算と解析解の導出の両者によって示した。この理論は NEMS(ナノメートルスケールの機械構造を持つデバイス)への応用等の進展が期待される。成果をまとめた論文はJ. Phys. Soc. Jpn.誌の注目論文(Editors' choice)に選ばれた。 2.2重量子ドットをカーボンナノチューブ上に作製したときの電子と振動モードの結合について調べ、フォノンレーザーの可能性を議論した。この場合、電子格子相互作用が強過ぎて、Frank-Condon効果によってレーザー発振やアンチバンチング生成が困難であることがわかった。 3.1のテーマと関連して、2重量子ドットでの光学フォノンの放出が電気伝導に与える影響を評価した。理研の大野、天羽両博士による実験結果を定性的に説明することに成功した。現在、共著の論文を準備中である。
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Research Progress Status |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)