2011 Fiscal Year Annual Research Report
多様なσ結合切断を伴うプロパルギルオキシム骨格転位反応の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
23105504
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 達 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00333899)
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Keywords | オキシム / アルキン / 銅触媒 / 骨格転位 / ニトロン / ピリジン / オキシラン / δ結合活性化 |
Research Abstract |
骨格転位は置換基効果により反応経路が著しく変化する。多様性をもたらす官能基として、酸性プロトン、分子内炭素-炭素多重結合、オキシラン環、連結炭素鎖の伸長などが予想される。本年はPropargyl oximeの反応系において置換基効果による反応経路の探索を行った。芳香族アルデヒド由来のO-プロパルギルオキシムの骨格転位反応により炭素-酸素結合の切断を経て4員環ニトロンが効率的かつ位置選択的に合成できることを見出した(Org.Lett,2011,13,3616に報告)。特に触媒条件の再検討により、ジエン配位子CODを用いることにより反応は円滑に進行することを見出した。生成物の異性化実験により、位置選択性の発現機構を解明した。また、α、β不飽和アルデヒド由来のZオキシムの反応は180℃の加熱条件では銅触媒なしで反応が進行し、2,3,6-3置換ピリジンオキシドが生成することを見出した(Tetrahedron Lett.2011,50,6470に報告)。鍵素過程であるO-プロパルギルオキシムとN-アレニルニトロン間の[2,3]-転位は環状遷移状態での立体反発が小さい場合、協奏的に進行することを明らかにした。また、α、β不飽和アルデヒド由来のEオキシムの銅触媒反応とは異なる置換パターンのピリジン誘導体を合成することが可能である。オキシムα位に水素を有する基質の反応がN-0結合の切断を経て、オキシラン環・エナミン・イミン部位を持つ化合物が生成するとことを見出した。特に嵩高いアミンを添加することにより効率的に反応が進行することを明らかにした。アルキニルオキシム系において骨格転位の多様性が潜在していることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のようにO-プロパルギルオキシムからのC-O結合切断プロセスの基本的な反応性、効率的な切断反応条件の開発に成功した。この知見はより複雑なタンデム反応への展開の足がかりとなる。実際、既にタンデム反応に関する予備的知見を得ており、次年度以降の研究により当初研究目的を達成する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画どおり(1)Propargyl oxime骨格転位反応における置換基効果・多様性探索(2)ニトロン発生法としての活用(3)反応の不斉化(4)骨格転位反応経路の触媒による制御、の研究を展開する。酸素・水に対して不安定な金属触媒を活用しより精度の高い有機合成実験を実施するために、グローブボックスなどの精密実験機器の導入が必要になると考えられる。
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