2011 Fiscal Year Annual Research Report
金属‐ゲルマニウム不飽和結合を鍵反応場とする高活性遷移金属錯体の創製とその機能
Publicly Offered Research
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
23105505
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
橋本 久子 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (60291085)
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Keywords | ゲルマニウム / 不飽和結合 / 金属錯体 / 多重結合 / ゲルミレン錯体 / ゲルミリン錯体 |
Research Abstract |
1.ゲルミリン錯体生成反応の機構に関する理論的研究 先に、ヒドリド(ヒドロゲルミレン)タングステン錯体とメシチルイソシアナートとの熱反応から、タングステンーゲルマニウム三重結合を持つゲルミリン錯体が生成し、同時にイソシアナートの水素化物が定量的に得られるという全く新しい反応を見出している。今回、この反応の機構をDFT理論計算により詳細に解明した。特に、出発のゲルミレン錯体の金属およびゲルマニウム上の2つの水素が段階的に基質の水素化に使われる過程が明確になった。すなわち、イソシアナートのC=0結合のヒドロゲルミル化によって反応が開始し、5員環中間体を経て、ゲルマニウム上の水素が金属に1,2-転位した後、この水素が基質の末端の窒素上にプロトンとして移ることで反応が完結することが明らかになった。 2.ヒドリド(ヒドロゲルミレン)タングステン錯体とヘテロクムレン類との反応 ヒドリド(ヒドロゲルミレン)タングステン錯体とイソチオシアナートやカルボジイミドとの反応でも、ヒドロゲルミル化反応により5員環錯体が生成することが明らかになっている。そのため、メシチルイソシアナートとの反応と同様な水素化反応が、これらの5員環錯体を高温にする、あるいは、反応を始めから100度以上の温度で行うことで進行するかを検討したが、複数の生成物が得られたのみであった。また、二酸化炭素との反応を1気圧条件下で様々な温度条件下でおこなったところ、脱水素が起こりゲルミリン錯体が比較的高収率で生成することを明らかにした。この際、反応中間体として、二酸化炭素のC=O結合のヒドロゲルミル化が起こったと考えられる5員環錯体がごくわずかNMRにより確認されたため、イソシアナートとの反応と類似の反応が起こっていると考えられるが、形式的に生成するはずの"ギ酸"はこの反応条件下では確認できなかった。脱炭酸をしている可能性があり、補足剤の添加等を検討する必要があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
東日本大震災で研究室が破壊されたため、仮住まい場所への引越しと研究室の立ち上げを繰り返した上に、これまでに合成した錯体や試薬の多くを損失したため、原料から錯体合成を行わなければならず、研究に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年秋に、新しい仮住まいの研究室に移り研究を再開したので、現在、遅れを取り戻すべく研究に適進している。
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Research Products
(3 results)