2011 Fiscal Year Annual Research Report
不活性結合活性化を鍵とする不斉触媒反応の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
23105512
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田中 健 東京農工大学, 産官学連携・知的財産センター, 教授 (40359683)
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Keywords | 有機合成 / 触媒反応 / 不斉合成 / 結合活性化 / 遷移金属錯体 / ロジウム / 付加環化反応 / アルキン |
Research Abstract |
カチオン性ロジウム(I)錯体触媒存在下、ヘテロ原子架橋5-アルキナールとロジウムへのキレート配位が可能なアシルホスホネートの反応を検討した。その結果、カチオン性ロジウム(I)/(R)-H_8-BINAP錯体触媒存在下、ヘテロ原子架橋5-アルキナールとアシルボスホネートを80℃で反応させると、アシルホスホネートの炭素-リン結合切断を伴う不斉環化反応が極めて高いエナンチオ選択性で進行することを見出した。一方、カチオン性ロジウム(I)/(R)-Segphos錯体触媒存在下、同基質を80℃で反応させると、5-アルキナールの炭素-水素結合切断を伴う不斉環化反応が極めて高いエナンチオ選択性で進行することを見出した。これら2つの異なる反応経路は、ビアリール配位子の二面角と、5-アルキナールとアシルホスホネートの置換基(R^1とR^3)の嵩高さにより決定されるという興味深い結果が得られた。 カチオン性ロジウム/cod錯体触媒存在下、1,4-ジオキサン溶媒中、1分子のシリルアセチレンと2分子の電子不足アルキンとの[2+2+1]交差環化三量化反応が進行し、多置換フルベンが高選択的に得られることを見出した。また、本反応で合成したシリルフルベンは、電子不足シクロペンタジエニルロジウム(III)錯体[Cp^ERhCl_2]_2へと簡便かつ高収率で誘導可能であることを見出した。得られたロジウム(III)錯体[Cp^ERhCl_2]_2は、アセトアニリドとアルキンとの脱水素カップリング反応による多置換インドールの合成において、通常用いられる[Cp^*RhCl_2]_2と比較して著しく高い触媒活性を示し、室温で定量的に反応が進行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標であった、カチオン性ロジウム(1)錯体を用いたヘテロ原子架橋5-アルキナールとアシルホスホネートとの触媒的不斉環化反応の開発に成功し、JACS誌に成果が掲載された。また、カチオン性ロジウム(I)錯体を用いた、1分子のシリルアセチレンと2分子の電子不足アルキンとの[2+2+1]交差環化三量化反応の開発にも成功し、ACIE誌に成果が掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により、(1)カチオン性ロジウム錯体を用いた触媒的炭素-酸素結合切断反応、(2)カチオン性ロジウム錯体を用いた触媒的炭素-リン結合切断反応、(3)カチオン性ロジウム錯体を用いた触媒的炭素-水素結合切断反応、(4)カチオン性白金錯体を用いた触媒的脱芳香環化反応、などについて極めて有望な初期的知見が得られており、平成24年度の研究において詳細な検討を実施し、論文発表していく予定である。
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