2011 Fiscal Year Annual Research Report
クラスター骨格の柔軟性を活かした新規結合形成反応の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
23105514
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高尾 俊郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (00313346)
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Keywords | ポリヒドリドクラスター / 金属-金属結合 / B-C結合形成反応 / ボリレン錯体 |
Research Abstract |
クラスター骨格の柔軟性を活かした新しい分子変換反応の開発を目指し,本申請研究では炭化水素配位子とヘテロ原子との結合形成に注目して研究を遂行し,本年度は三核平面の片側を三重架橋ボリレン配位子が占めるヒドリドクラスターを用いてクラスター上でのB-C結合形成反応について検討した.三重架橋ボリレン錯体1とアセチレンとの反応では二分子のアセチレンが三核反応場に取り込まれたエチン-エチリデン錯体2が得られた,この錯体を180℃に加熱することで,一つのRu-Ru結合の開裂とともに,三核平面の上下に位置した配位子間でのカップリング反応が進行し,closo型のボラルテナシクロペンテニル錯体3が得られた,錯体3の構造はX線構造解析によって明らかにし,メタラサイクル部分の2位にホウ素が,4位にメチル基が存在する構造であることを確認した.ホウ素上の置換基を水素からメトキシ基に置換したボリレン錯体とアセチレンとの反応からも同様なcloso型ボラルテナシクロペンテニル錯体4が得られたが,この場合にはメチル基は5位に位置することが明らかとなり,ボリレン配位子のルイス酸性の低下によって炭化水素配位子の骨格変換反応のメカニズムが変化したことが示唆された.2分子のアセチレンと同じ炭素数を持つブタジエンとの反応でも同様なボラルテナシクロペンテニル錯体の生成が期待されたが,この場合には3あるいは4は全く生成せず,代わりにホウ素と2つの炭素との間で3員環を形成した新規錯体5が得られた.X線構造解析およびNMRの結果から5の3員環はトリス-μ-カルベン錯体のC_3環と同様に主にp軌道によって構成されていることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的のようにクラスター上での新規B-C結合形成反応の開発には成功し、2種類のcloso型ボラルテナシクロペンテニル錯体とμ_3-BC_2環を有する新規錯体を合成した。しかしながら、同様な手法を用いてもイミド錯体と炭化水素配位子との間でのカップリング反応は起こらないことが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
加熱反応では三重架橋窒素配位子と炭化水素配位子との間でのカップリング反応は進行しないことを明らかにしたが、今後は酸化反応によってクラスターの電子数を変化させることで同タイプの反応が進行するかを検討する。また光照射下での反応についても検討を開始する。
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Research Products
(11 results)